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ぬれねずみ
ふりがな文庫
“
濡鼠
(
ぬれねずみ
)” の例文
また
偶時
(
たま
)
には、うツかり足を踏滑らして、川へ
陥
(
はま
)
り田へ
轉
(
ころ
)
げ、
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
のやうになツて歸ツた事もあツたが、中々其樣な事に
懲
(
こり
)
はしない。
水郷
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
卯時
(
うのとき
)
ばかりに、篠、傘をも差さず、
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
の如くなりて、私宅へ参り、又々検脈致し呉れ候様、頼み入り候間、私申し候は
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
人声がしきりに笑っているので、
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
のまま飛び込むと、それは私たちのために村の青年団の人たちが番茶の接待に出てくれているのであった。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
例
(
れい
)
の石がちやんと
目
(
め
)
の
下
(
した
)
に
横
(
よこた
)
はつて居たので其まゝ
飛
(
と
)
び
込
(
こ
)
み、石を
懷
(
だい
)
て
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
のやうになつて
逃
(
にぐ
)
るが
如
(
ごと
)
く
家
(
うち
)
に
歸
(
かへ
)
つて來た。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
お通の茶店へも十二三人、
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
のやうなのが飛込みましたが、買切つたわけでもないのですから、源助苦い顏をしながら斷るわけにも行きません。
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
自分
(
じぶん
)
が
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
の
樣
(
やう
)
になつて
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
も、
少
(
すく
)
なからず
潮水
(
しほみづ
)
を
飮
(
の
)
んで
腹
(
はら
)
が
苦
(
くる
)
しくなつて
居
(
を
)
る
事
(
こと
)
も
忘
(
わす
)
れて、
胸
(
むね
)
は
驚
(
おどろき
)
と
悦
(
よろこび
)
に、
跳
(
をど
)
りつゝ、
眤
(
じつ
)
と
眺
(
なが
)
むる
前方
(
かなた
)
の
海上
(
かいじやう
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
すると雨風に打たれて、圃の細道を走って、
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
のようになって入って来たのは母親であります。
嵐の夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
雨に打たれながら修理にとりかかって、なかなか修理がすまぬ様子で、
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
の姿でいつまでも黙々と機械をいじくり、やがて、キントトさんたちのバスがやって来たが
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「持って帰ったもんなら、
御組長屋
(
おくみながや
)
と
此家
(
ここ
)
との道中に、どこぞに落ちてるだんべ。さもなけりゃあ、あんなに
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
になる理由がねえ、と俺あ勘考しやすがね、松さん、お前の推量は?」
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
あの洲崎で君が
天水桶
(
てんすいおけ
)
へ踏みこんで
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
になった晩さ、……途中水道橋で乗替えの時だよ、僕はあそこの停留場のとこで君の肩につかまって、ほんとにおいおい声を出して泣いたんだぜ。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
野薊
(
のあざみ
)
、蛍袋、山鳥冑などが咲いている、幅の狭い川、広い川を二つ三つ
徒渉
(
かちわたり
)
して、穂高山の麓の
岳
(
たけ
)
川まで来ると雨が強くなった、登山をあきらめて引きかえすころは、
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
になってしまう
梓川の上流
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
そうして、精一杯の声を
揚
(
あ
)
げて、「おーいおーい」と呼んだ。兄夫婦は驚いてふり向いた。その時石の堤に当って砕けた波が、吹き上げる
泡
(
あわ
)
と
脚
(
あし
)
を洗う流れとで、自分を
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
のごとくにした。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
のからだを、そこに突っ立たせるとすぐ、地だんだして、叫んでいた。
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
になって寒いが、極度に疲れているので、いつか
睡気
(
ねむけ
)
を催して来た。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
「途方もない。この
風雨
(
しけ
)
に夜釣なんか出来るものか。魚は釣れず、
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
になって、大洗(大笑い)になるまでさ」
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
一つには、
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
になった老人の姿が、幾分の同情を動かしたからで、また一つには、
世故
(
せこ
)
がこう云う場合に、こっちから口を切る習慣を、いつかつけてしまったからである。
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
判断の前に
風采
(
ふうさい
)
を一見して、これは
掃溜
(
はきだめ
)
に鶴の
亡者
(
もうじゃ
)
、まずお掛けなさい、と愛想を言おうとしましたが、昼間、率八に水をぶッかけられた
濡鼠
(
ぬれねずみ
)
の逃げ出しがたたッて、すっかり
風邪
(
かぜ
)
を引いたらしく
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
濡
漢検準1級
部首:⽔
17画
鼠
漢検準1級
部首:⿏
13画
“濡”で始まる語句
濡
濡衣
濡縁
濡手拭
濡色
濡羽
濡々
濡手
濡髪
濡須