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へつ
彼は
何程節約しても
遂にじり/\と
減て
行くのみである
財布に
縋つて、
芒で
裂いた
樣に
閉ぢた
其の
口に
何でも
噛み
殺して
居るのだといふ
容子をして
其日々々と
刻んで
過した。
三五郎から
借て來て死人の
側へ
落した故彼等が三五郎と思ひしなり是で
好々と
獨り言を云つゝ臺所へ到りアヽ
腹が
減た何ぞないかと
其所らを
探し何か戸棚より取出して
飯櫃を
煙草入は
虚空であつた。
彼は
自分の
體力が
滅切と
減て
仕事をするのに
手が
利かなくなつて、
小遣錢の
不足を
感じた
時、
自棄に
成つた
心から
斷然其噛む
程好な
煙草を
廢さうとした。
脱ぬうち穀屋へ行て
來やうか扨々
腹が
減たお峰や一寸一杯
喰込で行うと
腰を掛け
居處へ當宿の村役人段右衞門と
岡引吉藏
案内にて八州
廻の役人どや/\と
押來り
上意々々と聲を
掛飛懸つて富右衞門を