へつ)” の例文
かれ何程なにほど節約せつやくしてもつひにじり/\とへつくのみである財布さいふすがつて、すゝきいたやうぢたくちなんでもころしてるのだといふ容子やうすをしてその々々ときざんですごした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
三五郎からかりて來て死人のそばおとした故彼等が三五郎と思ひしなり是で好々よし/\ひとり言を云つゝ臺所へ到りアヽはらへつた何ぞないかと其所そこらをさがし何か戸棚より取出して飯櫃めしびつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
煙草入たばこいれ虚空からであつた。かれ自分じぶん體力たいりよく滅切めつきりへつ仕事しごとをするのにかなくなつて、小遣錢こづかひせん不足ふそくかんじたとき自棄やけつたこゝろから斷然だんぜんそのほどすき煙草たばこさうとした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ぬがぬうち穀屋へ行てやうか扨々はらへつたお峰や一寸一杯喰込かつこんで行うとこしを掛け居處ゐるところへ當宿の村役人段右衞門と岡引をかひき吉藏案内あんないにて八州まはりの役人どや/\と押來おしきた上意々々じやうい/\と聲をかけ飛懸とびかゝつて富右衞門を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)