渇仰かつがう)” の例文
渠等かれらつう原則げんそくまもりて俗物ぞくぶつ斥罵せきばするにもかかはらず。)然しながら縦令たとひ俗物ぞくぶつ渇仰かつがうせらる〻といへども路傍みちばた道祖神だうろくじんの如く渇仰かつがうせらる〻にあらす
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
ある深い渇仰かつがうに似た念があふれるやうにみなぎつて来た。それは昔の慈海に逢ひたいといふ心持ではなかつた。単になつかしいといふやうな心持でもなかつた。
ある僧の奇蹟 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
予は常に確信す、大正の流俗、芸術を知らず、無邪気なる彼等の常談じやうだん大真面目おほまじめに随喜し渇仰かつがうするの時、まづ噴飯ふんぱんに堪へざるものは彼等両人にほかならざるを。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
うちこそ、みねくもに、たにかすみに、とこしへふうぜられて、自分等じぶんら芸術げいじゆつかみ渇仰かつがうするものが、精進しやうじんわしつばさらないでは、そま山伏やまぶし分入わけいこと出来できぬであらう。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
男の聖者ひじりが多く女の聖者ひじり渇仰かつがうするに対して、女の聖者ひじりは大抵男の聖者ひじり帰依きえをする。ロヨラは聖母マリヤの信仰家であつたが、婦人の多くはナザレの耶蘇ヤソと精神的結婚を遂げてゐるのだ。
あひがたき教へを受けて渇仰かつがう
取返し物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
つう仕込じこみおん作者さくしや様方さまがた尊崇そんすうし其利益りやくのいやちこなるを欽仰きんぎやうし、其職分しよくぶんをもておもだいなりとなすは俗物ぞくぶつをし俗物ぞくぶつ渇仰かつがうせらるゝがゆゑなり
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
ことむすめが十六七、女盛をんなざかりとなつて時分じぶんには、薬師様やくしさま人助ひとだすけに先生様せんせいさまうちうまれてござつたといつて、信心しん/″\渇仰かつがう善男ぜんなん善女ぜんによ? 病男びやうなん病女びやうぢよわれわれもとける。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
印刷局いんさつきよく貴婦人レデイに到るまで随喜ずゐき渇仰かつがうせしむる手際てぎは開闢以来かいびやくいらい大出来おほできなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)