あは)” の例文
おもふと、あはが、ゆきふるはすしろはだたゞれるやうで。……そのは、ぎよつとして、突伏つきふすばかりに火尖ひさきめるがごと吹消ふきけした。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
だが、それにしても、何とよく降る雨なのだらう。敵意のある雨の騒々しさが、富岡の心を突いて来た。女は病んで、熱のなかにあはを噴いてゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
雲は寄る寄るがけんで、ね返されたる倒波ローラアの如きあり、その下層地平線にれて、波長を減じたるため、上層とさつして白波サアフあは立つごときあり、これを照らすにかの晃々くわう/\たる大月あり
霧の不二、月の不二 (新字旧仮名) / 小島烏水(著)
へい/\有難ありがたぞうじます、何卒どうぞ頂戴致ちやうだいいたしたいもので。姫「少々せう/\ひかへてや。「へい。あはてゝ一ぱい掻込かつこみ、何分なにぶん窮屈きうくつたまらぬからあはつて飛出とびだしたが、あま取急とりいそいだので莨入たばこいれ置忘おきわすれました。 ...
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
海からあがつた。彼等は死骸を一つの車に積み込んだ。さうして引き出した。長くなつたくび、飛びしたくちびるうへに咲いた、怖ろしい花の様な血のあはれたしたを積み込んでもとの路へ引き返した。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
何をしに来たのかと苛責かしやくに似た気持ちも感じられて、一日一日気忙きぜはしく戦争に追ひたてられてゐる、内地の様子が、意味もなく、ゆき子の頭の中に、あはのやうに浮いては消えてゐる。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
チチとくのがこほりけるやうにひゞいて、ふきこぼるゝあははなみだした。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゞ白いあはの大きなかたまり薄白うすじろく見えた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)