油屋あぶらや)” の例文
宗易が、無事にここにいたと知れると、十人衆の油屋あぶらや銭屋ぜにや薩摩屋さつまやなどの友達が、こぞって駈けつけ、共々彼を救い出した。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以て表の油屋あぶらや五兵衞の方へゆき番頭久兵衞にあひて流れの一件段々と延引えんいんに相成甚だ氣の毒千萬なり夫に付今日は右の品物を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
檀家だんかなかにも世話好せわずきのある坂本さかもと油屋あぶらや隱居ゐんきよさま仲人なかうどといふもものなれどすすめたてゝ表向おもてむきのものにしける、信如しんによ此人このひとはらよりうまれて男女なんによ二人ふたり同胞きやうだい
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこでだれかが、村の油屋あぶらやまで油を買いにゆかねばなりません。さてだれがいったものでしょう。
狐のつかい (新字新仮名) / 新美南吉(著)
黒ければ漆のように、赤ければ亀甲きっこうのように光る。のり入れだという小壺は形が卵のようで、ふたが美しい、焼け具合で耀変ようへんが来ると、例の大名物油屋あぶらや肩附かたつきを想わせる。
雲石紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
されど頭のやましきことは前に比べて一層を加えたり。軽井沢停車場かるいさわていしゃじょうの前にて馬車はつ。恰も鈴鐸れいたく鳴るおりなりしが、余りの苦しさに直には乗り遷らず。油屋あぶらやという家に入りて憩う。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
呼声よびごえから、風体なり恰好かっこう、紛れもない油屋あぶらやで、あのあげものの油を売るのださうである。
雨ばけ (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お嬢さんたちは、芝居の八百屋お七や油屋あぶらやお染だと思えばまあ間違いはない、御大層なのは友禅ゆうぜんの座ぶとんを抱えさせてくる。お手習だけしているのもあれば、よみものをしにくるのもある。
歌舞伎芝居の方は油屋あぶらやこんかなんかであったように記憶して居る。その時も
漱石氏と私 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
けれども、子供こどもたちがれてくれないものですから、こまって、むら油屋あぶらやへ行って、あぶらを一しょうぬすんで、それをみんなんで、のどをやわらかにして、またもどってて、とんとんとをたたきました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
古い旅籠はたご屋では油屋あぶらやという、元は脇本陣だったそうですが、以前のままの大きな古い建築で、軒下には青い獅子頭ししがしらなどが突き出ていました。剥げちょろけですがね。二階が出張っていましてね。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
○「え、油屋あぶらや
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
返さば勘辨かんべんせんなどと自分了簡れうけんにて取計とりはからふは甚だ以て不審ふしんの至にして主人持しゆじんもちにはあるまじき不屆ふとゞきなり汝は探索方たんさくかた手先てさきでも致すかと申されしに久兵衞は甚だ恐れ如何致しまして然樣さやうな事は仕つらず私しは油屋あぶらや五兵衞が見世の番頭を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
油屋あぶらやえん
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)