-
トップ
>
-
氣輕
>
-
きがる
母親は五十ばかり、
黒地のコートに
目立たない
襟卷して、
質素な
服姿だけれど、ゆつたりとして
然も
氣輕さうな
風采。
「やあ
昨夜は。
今御歸りですか」と
氣輕に
聲を
掛けられたので、
宗助も
愛想なく
通り
過ぎる
譯にも
行かなくなつて、
一寸歩調を
緩めながら、
帽子を
取つた。
かう言つた
曖昧茶屋などは、確とした請人も證文もなく、
氣輕に
安値に人身賣買が行はれたのでせう。
小利口にきび/\と
立𢌞はつて、
朝は
六つ
前から
起きて、
氣輕身輕は
足輕相應、くる/\とよく
働く
上、
早く
江戸の
水に
染みて、
早速情婦を
一つと
云ふ
了簡から
母樣が、
膝を
彈いて、ずらりと、ずらすやうに
跨いで
下りると、
氣輕にてく/\と
土間を
來た。
小利口にきび/\と
立𢌞る、
朝は
六つ
前から
起きて、
氣輕身輕は
足輕相應、くる/\とよく
働く
上、
早く
江戸の
水に
染みて
早速に
情婦を
一つと
云ふ
了簡から、
些と
高い
鼻柱から
手足の
爪まで
「おい
來た。」と
氣輕に
踞む、
其の
男の
肩へ、づかと
遣ると、
忽ち
怒つた。