のこり)” の例文
新字:
『これでし、のこりあなかず貴君あなたの壽命だ、最早もうこれでおいとまいたさう』と飄然へうぜん老叟らうそう立去たちさつしまつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
わたのこり六十兩はおのれものとし是迄に掠取かすめとりし金と合せ見るに今は七百兩餘に成ければ最早もはや長居ながゐは成難しと或日役所やくしよにてわざいさゝかの不調法ぶてうはふを仕出し主人へ申譯立難たちがたしとて書置かきおき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おれめしでもはうかえ」勘次かんじ風呂敷包ふろしきづゝみから辨當べんたうのこりしてつめたいまゝぷす/\とかぢつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
否、のこりなくあぢはひて、かれも人なる
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
おとし忽ち産後さんごあがり是も其夜の明方あけがた相果あひはてければあとのこりしお三婆は兩人ふたり死骸しがいに取付天をあふぎ地に泣悲なきかなしむより外なきは見るもあはれの次第なり近邊きんぺんの者どもばゝ泣聲なきごゑ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たちたまひたり是によつて御列座も皆々退參たいさんと相成りければ跡に越前守只一人のこり手持てもちなき體なりしが外にせんすべもなくて凄々すご/\として御役宅を立ち去り歸宅せられしが忠義にこりなる所存を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)