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歩調
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あしどり
ふりがな文庫
“
歩調
(
あしどり
)” の例文
豌豆いろの
長袗
(
カフターン
)
の胸へ片手を突込んで、のつしのつしと
歩調
(
あしどり
)
も重々しく部屋を歩きまはりながら、婆さんの話の腰を折りをつたのぢや。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:01 はしがき
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
あたかも病みあがりのロイマチス患者のごとき
蹌踉
(
そうろう
)
たる
歩調
(
あしどり
)
で、大道狭しと漫歩しているのは、まことに荘重類ない眺めであった。
ノンシャラン道中記:02 合乗り乳母車 ――仏蘭西縦断の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼女は覚束ない
歩調
(
あしどり
)
で歩いて行ったが、
呼吸
(
いき
)
切れがするのと、頭がふらふらするので、時々じっと立ち止まらねばならなかった。
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
通る人も通る人も皆
歩調
(
あしどり
)
をゆるめて、日当りを選んで、秋蠅の力無く歩んで居る。下宿屋は二階中を
開
(
あけ
)
ひろげて
蚊帳
(
かや
)
や
蒲団
(
ふとん
)
を乾して居る。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
健は、
例
(
いつも
)
の様に
亭乎
(
すらり
)
とした体を少し
反身
(
そりみ
)
に、
確乎
(
しつかり
)
した
歩調
(
あしどり
)
で歩いて、行き合ふ
児女等
(
こどもら
)
の会釈に微笑みながらも、始終
思慮
(
かんがへ
)
深い眼付をして
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
冬木刑事の同僚で先輩である
沖田
(
おきた
)
刑事はまるで元気のない
歩調
(
あしどり
)
で、
半蔵門
(
はんぞうもん
)
から
三宅坂
(
みやけざか
)
のほうへ向いて寒い風に吹かれながら
濠端
(
ほりばた
)
をとぼとぼと歩いていた。
五階の窓:03 合作の三
(新字新仮名)
/
森下雨村
(著)
私もそれは同じ想だ。泣出しそうな
面
(
かお
)
をして、バタバタと駆出し、声の聞えない処まで来て、漸くホッとして、
普通
(
なみ
)
の
歩調
(
あしどり
)
になる、
而
(
そう
)
して
常
(
いつ
)
も心の
中
(
うち
)
で
反覆
(
くりかえ
)
し反覆し
此様
(
こん
)
な事を思う
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
前の方の四五人は、甲高い富江の笑声を囲んで
一団
(
ひとかたまり
)
になつた。町帰りの
酔漢
(
よひどれ
)
が、何やら呟き乍ら
蹣跚
(
よろよろ
)
とした
歩調
(
あしどり
)
で行き過ぎた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そして決然たる
歩調
(
あしどり
)
で娘たちの群れに追ひつくと、彼はオクサーナと肩をならべて、きつぱりした口調で言つた。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:02 降誕祭の前夜
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
と、独語しながら、心残り気に幾度も噴水の鶴の方を見かえりながら、悠々たる
歩調
(
あしどり
)
で花壇の方へ歩み去った。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
モッフが重い
歩調
(
あしどり
)
で波止場の方へ帰ってゆくと、ガルールは
遽
(
あわた
)
だしく場末の汚い街へ姿を消した。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
一隊の健兒は、春の曉の鐘の樣な冴え/″\した聲を張り上げて歌ひつゞけ乍ら、勇ましい
歩調
(
あしどり
)
で、先づ廣い控處の中央に大きい圓を描いた。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
おつかなびつくりの
歩調
(
あしどり
)
で、床ではなく、昨夜あの祭司の息子が真逆様にころげ落ちた、くだんの板の取りつけられた天井や、壺の並べてある棚を眼下に見おろしながら
ディカーニカ近郷夜話 前篇:03 ソロチンツイの定期市
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
或る者は真黒な喪服をすっぽりと
被
(
かつ
)
いで、悄然と力ない
歩調
(
あしどり
)
をしているかと思うと、一方には華やかに着かざって、
饒舌
(
おしゃべり
)
をしたり高笑いをしたりしながらやって来る者もある。
碧眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
浪は相不変、活動写真の
舞踏
(
ダンス
)
の
歩調
(
あしどり
)
で、
重
(
かさな
)
り重り沖から寄せて来ては、雪の舌を銀の歯車の様にグルグルと捲いて、ザザーツと怒鳴り散らして颯と
退
(
ひ
)
く。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
やがて順番が来ると、彼女はふらふらする
歩調
(
あしどり
)
で、法廷の証人席へ入って行ったが、暗い控室から急に明るみへ出たので、眼をパチクリさせながらも、すぐに被告席にいるわが子の姿を認めた。
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
薄笑
(
うすわらひ
)
をして俯向き乍ら歩いて來る彼は、軈て覺束なき
歩調
(
あしどり
)
を進めて、白狐龕の前まで來た。そして
礑
(
はた
)
と足を止めた。同時に『ウッ』と聲を洩して、ヒョロ高い
身體
(
からだ
)
を中腰にした。
葬列
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
薄笑をして俯向き乍ら歩いてくる彼は、
軈
(
やが
)
て覚束なき
歩調
(
あしどり
)
を進めて、白狐龕の前まで来た。そして、
礑
(
はた
)
と足を止めた。同時に『ウツ』と声を洩して、ヒヨロ高い身体を中腰にした。
葬列
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
日比谷公園を出て
少許
(
すこし
)
來ると、十間許り前を
暢然
(
ゆつたり
)
とした
歩調
(
あしどり
)
で二人連の男女が歩いてゐる。餘り若い人達ではないらしいが何方も立派な洋裝で、肩と肩を擦合して行くではないか、畜生奴!
散文詩
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
活動寫眞で見る
舞踏
(
ダンス
)
の
歩調
(
あしどり
)
の樣に追ひ越されたり、追越したり、段々近づいて來て、今にも我が身を洗ふかと思へば、牛の背に似た碧の小山の
頂
(
いただき
)
が、ツイと
一列
(
ひとつら
)
の皺を作つて、眞白の雪の舌が出る。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
活動写真で見る
舞踏
(
ダンス
)
の
歩調
(
あしどり
)
の様に追ひ越されたり、追越したり、段々近づいて来て、今にも我が身を洗ふかと思へば、牛の背に似た
碧
(
みどり
)
の小山の頂が、ツイと
一列
(
ひとつら
)
の皺を作ツて、真白の雪の舌が出る。
漂泊
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
鈍い
歩調
(
あしどり
)
で二三十歩、
俛首
(
うなだ
)
れて歩いて居たが、
四角
(
よつかど
)
を右に曲つて、
振顧
(
ふりかへ
)
つてモウ社が見えない所に來ると、渠は遽かに顏を上げて、融けかかつたザクザクの雪を蹴散し乍ら、勢ひよく足を急がせて
病院の窓
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
チョイと
渦
(
うづ
)
を卷いて、忽ち海風に散つてゆく、浪は
相不變
(
あひかわらず
)
、活動寫眞の
舞踊
(
ダンス
)
の
歩調
(
あしどり
)
で、
重
(
かさな
)
り重り沖から寄せて來ては、雪の舌を銀の齒車の樣にグルグルと卷いて、ザザーッと
怒
(
ど
)
鳴り散らして颯と
退
(
ひ
)
く
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
鈍い
歩調
(
あしどり
)
で二三十歩、
俛首
(
うなだ
)
れて歩いて居たが、
四角
(
よつかど
)
を右に曲つて、
振顧
(
ふりかへ
)
つてもモウ社が見えない所に来ると、渠は
遽
(
には
)
かに顔を上げて、融けかかつたザクザクの雪を蹴散し乍ら、勢ひよく足を急がせて
病院の窓
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
町歸りの
醉漢
(
よひどれ
)
が、何やら
呟
(
つぶや
)
き乍ら
蹣跚
(
よろ/\
)
とした
歩調
(
あしどり
)
で行き過ぎた。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
歩
常用漢字
小2
部首:⽌
8画
調
常用漢字
小3
部首:⾔
15画
“歩”で始まる語句
歩
歩行
歩哨
歩廊
歩々
歩合
歩兵
歩板
歩武
歩行出