昨夜と同じく、榾火にあたりながら朝食をすます。「よしえ」は母親を急き立てて、黄八丈を出せという。昨日のことを忘れないのだ。
榾火に照らされた坊主の顔は骨と皮ばかりになった老人だった。しかし伝吉はその顔のどこかにはっきりと服部平四郎を感じた。
しかし、この炉辺閑話の仲間のうちに一人、机竜之助の幼少時代を知っているものがあるということで、また榾火があかく燃え出しました。
一たび高山に登って榾火の夜の光に接すると、たちまちにして悠遠なる祖先の感覚が目ざめて、特殊の興奮に誘われずにはいなかったのである。
荷をおいて迎えに来た案内者につれられてはいったが、榾火のめらめらと燃えあがるのを見るだけで、あたりが暗い。