柳屋やなぎや)” の例文
柳屋やなぎやの柳の陰に、かどはし谿河たにがわながれに立つ姿は、まだ朝霧をそのままのはぎにも女郎花おみなえしにも較べらるる。が、それどころではない。
栃の実 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
明和めいわのむかし、この樹下に楊枝店ようじみせ柳屋やなぎやあり。その美女おふじの姿は今に鈴木春信すずきはるのぶ一筆斎文調いっぴつさいぶんちょうらの錦絵にしきえに残されてある。
柳屋やなぎやのムスメは
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
あゝ、まぼろしのなつかしい、空蝉うつせみのかやうな風土ふうどは、かへつてうつくしいものをさんするのか、柳屋やなぎや艶麗あでやか姿すがたえる。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
長旅ながたびかゝへたり、まへたうげのぞんだれば、めてなどおもひもらず、柳屋やなぎやといふに宿やどる。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
柳屋やなぎや淺間あさま住居すまひ上框あがりがまち背後うしろにして、見通みとほし四疊半よでふはん片端かたはしに、隣家となり帳合ちやうあひをする番頭ばんとう同一おなじあたりの、はしらもたれ、そでをばむねのあたりではせて、浴衣ゆかたたもと折返をりかへして
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「かうやつて、かういてるんだぜ、木挽こびき小僧こぞうだぜ。お前樣まへさんはおかみさんだらう、柳屋やなぎやのおかみさんぢやねえか、それねえ、此方こつちでお辭儀じぎをしなけりやならないんだ。ねえ、」
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
約束やくそくなればたう柳屋やなぎや顏立かほだてまゐつたまで、と、しりごみすること一方ひとかたならず。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「晩にゃまた柳屋やなぎや豆腐とうふにしてくんねえよ。」
三尺角 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)