“散々(さんざ)” の例文
「それから順吉もつれて来て頂戴よ。あの子には散々(さんざ)苦労をさせて来たから、一日ゆっくり遊ばしてやりましょうよ」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
手を拍(う)って、喝采(かっさい)して、おもしろがって、おかしがって、散々(さんざ)慰(なぐさ)んで、そら菓子をやるワ、蜜柑(みかん)を投げろ、餅(もち)をたべさすわって、皆(みんな)でどっさり猿に御馳走(ごちそう)をして
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
聞いたよ。首無事件や五人殺しで警察が去年から散々(さんざ)味噌を付けてるもんだから、今度の事はそれ程でも無いのを態と彼樣(あんな)に新聞で吹聽させたんだつて噂も有るぜ。
所謂今度の事:林中の鳥 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「妾(あたし)の嫌いななア持って廻って、厭がらせの散々(さんざ)ッ腹(ぱら)、出て行けがしにあつかわれることさ」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
平生(へいぜい)尤も親しらしい面(かお)をして親友とか何とか云っている人達でも、斯うなると寄って集(たか)って、手(て)ン手(で)ンに腹(はら)散々(さんざ)私の欠点を算え立てて、それで君は斯うなったんだ、自業自得だ
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
それからいよいよ談判が始まって散々(さんざ)価切(ねぎ)った末おやじが、買っても好いが品はたしかだろうなと聞くと、ええ前の奴は始終見ているから間違はありませんがね後(うし)ろに担(かつ)いでる方は
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今夜も懶(なま)けものの癖として品川へ素見(ひやかし)にまいり、元より恵比寿講をいたす気で某(ある)楼(うち)へ登(あが)りましたは宵の口、散々(さんざ)ッ腹(ぱら)遊んでグッスリ遣るとあの火事騒ぎ、宿中(しゅくじゅう)は鼎(かなえ)の沸(わ)くような塩梅しき
初ちやんの時にも散々(さんざ)つぱら見せつけられてゐる上にさ——。
疵だらけのお秋 (新字旧仮名) / 三好十郎(著)
昨日(きのふ)は一日、芝で古道具屋をしてゐる叔母の處へ行つて、散々(さんざ)ツぱら姉の棚卸(たなおろ)しや、自分の自惚(のろけ)やら愚痴やら並べて、其晩寄席(よせ)へ連出したことも確である。
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
それから畚(びく)に入れてある、あのしめじ蕈(たけ)が釣った、沙魚(はぜ)をぶちまけて、散々(さんざ)悪巫山戯(わるふざけ)をした挙句が、橋の詰(つめ)の浮世床のおじさんに掴(つか)まって、額の毛を真四角(まっしかく)に鋏(はさ)まれた
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「芸者を引張込むようじゃ、長続きはしないね。散々(さんざ)好きなことをして、店を仕舞うがいいや」
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「何だってそう僕をいじめるんだ。あの時だって散々(さんざ)酷いめにあわせたじゃないか。乱暴なものを食べさせるんだもの、綿の餡(あん)なんか食べさせられたのだから、それで煩うんだ。」
誓之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
其時(そのとき)はこの時雨榎(しぐれえのき)の枝(えだ)の両股(ふたまた)になつてる処(ところ)に、仰向(あをむけ)に寝転(ねころ)んで居(ゐ)て、烏(からす)の脛(あし)を捕(つかま)へた、それから畚(ふご)に入(い)れてある、あのしめぢ蕈(たけ)が釣(つ)つた、沙魚(はぜ)をぶちまけて、散々(さんざ)悪巫山戯(わるふざけ)をした揚句(あげく)が
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『チヨツ莫迦(ばか)にしてるよ。松公はもと/\此方(こつち)の弟子ぢやないか。其をお前が引張込んで、散々(さんざ)ツぱら巫山戯(ふざけ)た眞似(まね)をして置いて……』と未(ま)だ何か毒づかうとしたが、急に周圍(あたり)に氣がつくと
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
喝采(かつさい)して、おもしろがつて、をかしがつて、散々(さんざ)慰(なぐさ)むで、そら菓子(くわし)をやるワ、蜜柑(みかん)を投(な)げろ、餅(もち)をたべさすワツて、皆(みんな)でどつさり猿(さる)に御馳走(ごちさう)をして、暗(くら)くなるとどや/\いつちまつたんだ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)