かは)” の例文
余程注意して判別しないと、それで彼等は相互ひに親しみを抱いて愉快に仕事の話を取りかはしてゐるのだ! といふことは解らない。
円卓子での話 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
お前が本當に此屋敷のお孃さんなら、丁度仕合せだから、今晩そつとやつて來て、お孃さんと入れかはつてくれといふ頼みでした
三四郎は安心して席を向ふ側へ移した。是でひげのある人と隣りあはせになつた。髭のある人は入れかはつて、窓からくびを出して、水蜜桃を買つてゐる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
人智じんちなるものが、動物どうぶつと、人間にんげんとのあひだに、おほいなる限界さかひをなしてつて、人間にんげん靈性れいせいしめし、程度ていどまで、實際じつさいところ不死ふしかはりをしてゐるのです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
はしがペンキぬりになつて、黒塀くろべい煉瓦れんぐわかはると、かはづ船蟲ふなむし、そんなものは、不殘のこらず石灰いしばひころされよう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
でも、私あの方と青木さんとが、かうした物を、お取りかはしになつてゐようとは、夢にも思ひませんでしたわ。屹度きつと、誰方にも秘密にしていらしつたのでございませう。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
姉妹きやうだいは顔を見合せて、黙つて微笑ゑみかはした。
出発 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「喜八郎と入れかはつたのだよ、喜八郎は百人町の百兵衞のところにとまつて、俺は此處へ戻つて來たまでのこと、喜八郎の聲色こわいろを使ふのに骨を折つたぞ」
今迄むかひ合せに言葉をかはしてゐた広田先生と庄司といふ教授は、二人ふたりの応答を途中でさへぎる事を恐れて、談話をやめた。其他の人もみんなだまつた。会の中心点が始めて出来あがつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
れとも物質ぶつしつ變換へんくわん……物質ぶつしつ變換へんくわんみとめて、すぐ人間にんげん不死ふしすとふのは、あだか高價かうかなヴアイオリンがこはれたあとで、其明箱そのあきばこかはつて立派りつぱものとなるとおなじやうに、まことわけわからぬことである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
お秀が立つて行くと、入れかはつて二十一二の、召使とは見えぬ美しい女が入つて來ました。
平次は立ち上がり乍ら、ソツと八五郎に目配せして、女房のお靜と入れかはりました。
入れかはつて來たのは二十二三の大年増ですが、商人の家の奉公人にしてはひどく厚化粧で、物言ふ毎に少しゆがめて白い齒をチロリと見せる唇は、やゝ下品ではあるがこびをさへ含んで
入れかはつて平次、座敷の中へ僅かに顏を入れます。