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とりなわ
ふりがな文庫
“
捕縄
(
とりなわ
)” の例文
旧字:
捕繩
のめるようにかけだして、きゅっと
捕縄
(
とりなわ
)
の一端をしごいたが——その時、一人の男、宙を飛んでくるなり弥惣兵衛の腕にしがみついて
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これは
十手
(
じって
)
捕縄
(
とりなわ
)
の
功徳
(
くどく
)
でした。どんな物騒な野郎も、お上の御用を勤めているとわかってる八五郎を誘う気遣いはありません。
銭形平次捕物控:349 笛吹兵二郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
わたくしのお話はいつでも
十手
(
じって
)
や
捕縄
(
とりなわ
)
の世界にきまっていますけれども、こちらの方は領分がひろいから、色々の変った世界のお話を聴かせてくれますよ。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と言って、送りの客を顧みましたが、この時、提灯は抛り出してしまって、懐ろへ手を差し入れたのは、火打道具を取り出さんがためではありません——一張の
捕縄
(
とりなわ
)
です。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と調子に乗って
声高
(
こわだか
)
に談判するを、
先刻
(
せんこく
)
より
軒前
(
のきさき
)
に
空合
(
そらあい
)
を眺めて居りました二人の夜店
商人
(
あきんど
)
が、互いに顔を見合わせ、
頷
(
うなず
)
きあい、懐中から
捕縄
(
とりなわ
)
を取出すや否や、格子戸をがらりっと明けて
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
「
捕縄
(
とりなわ
)
の掛け方なら、私に及ぶ者は常陸下総
上総
(
かずさ
)
にも有りますまい」
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
今村の両手はいつのまにか
捕縄
(
とりなわ
)
でかたく縛られていた。
犠牲者
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
と袖から蛇の首のように
捕縄
(
とりなわ
)
をのぞかせた。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、波越は腕につかんでいる
捕縄
(
とりなわ
)
を、わなわなと見せて、口惜しそうに、叩きつけた。男泣きに泣くように、顔の筋をふるわした。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、娘の閉じた口を開かせることは、平次の知恵でも、十手
捕縄
(
とりなわ
)
でも出来ることではありません。
銭形平次捕物控:236 夕立の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
捕縄
(
とりなわ
)
に物を言わせる
凄味
(
すごみ
)
の相手であることは、つい今頃、送られる身になって、ぴーんと来ていない限りはないのだが、草津の駅でがんりきを
咎
(
とが
)
めたように、頭ごなしに咎められない。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ツ、ツ、ツッ……」と、
喉
(
のど
)
の
捕縄
(
とりなわ
)
をつかみながら、孫兵衛だけは、
弦
(
つる
)
を張られた弓の
形
(
なり
)
に、そこへ、食いとめられてしまった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さア、それがわかれば、私も
十手
(
じって
)
捕縄
(
とりなわ
)
を預かるが、——近頃は暮しも楽ではないから」
銭形平次捕物控:277 和蘭の銀貨
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
大極流の兵法には、棒も、剣も、槍も、拳法も、
捕縄
(
とりなわ
)
も、忍びの術までが、みな一つ体系に摂取されてあるということと、支那の武術との関聯を、兵馬は耳新しく聞いていると、村田が
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
海蛇
(
かいだ
)
のごとき一本の
捕縄
(
とりなわ
)
が、
突
(
とつ
)
! あるまじき渦潮の中からおどりだして、
櫓
(
ろ
)
をつかんでいる周馬の首へピューッ、水を切って巻きついた。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
叩き起された平次は、はなはだ
以
(
もっ
)
て不服そうです。
横着
(
おうちゃく
)
をきめているようですが、実は十手
捕縄
(
とりなわ
)
を預かっている八五郎に、たまには
独
(
ひと
)
り立ちの仕事をさせてみたかったのでしょう。
銭形平次捕物控:282 密室
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして二人が切り結んでいる
態
(
てい
)
を見るや、彼はなんの
猶予
(
ゆうよ
)
もなく、得意の
捕縄
(
とりなわ
)
をスルスルと解いて、天堂一角へ狙いをつけた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
言え。金持の用心棒になるくらいなら、俺は
十手
(
じって
)
捕縄
(
とりなわ
)
を返上して、女房に駄菓子でも売らせるよ。向島へ誘い出そうというのも佐渡屋に誘われたのじゃないか。あすこには結構な寮がある筈だが
銭形平次捕物控:297 花見の留守
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
断
(
き
)
られた
捕縄
(
とりなわ
)
を、舌うちしながら、キリキリ手元へ巻き込んで、崖ぎわから、削り立った
急勾配
(
きゅうこうばい
)
を、残念そうに
覗
(
のぞ
)
いていた。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あっしはもう
十手
(
じって
)
捕縄
(
とりなわ
)
を返上してしまいますよ、親分」
銭形平次捕物控:349 笛吹兵二郎
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、投げ上げた二丈の
捕縄
(
とりなわ
)
は、崖の上へ這い上がりかけた曲者の首すじへ
絡
(
から
)
みついた。旋回した
分銅
(
ふんどう
)
は、彼の首から、胴なかを、蛇のように巻いた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、眼八の十手が、風を切って入るのと同時に、飛んできた
捕縄
(
とりなわ
)
が、拝み打ちに下ろしたかれの手元をさらって、ガラリと刃物を巻き落してしまった。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、起きかえって、側を離れてくると、その手と源次の間に、いつのまにかタランと、
捕縄
(
とりなわ
)
がつながれている。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手拭でふくれている
懐中
(
ふところ
)
も、人一倍長い
捕縄
(
とりなわ
)
の束でアアなっているのだろうと
恐
(
こわ
)
がられている手先である。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
方円流
(
ほうえんりゅう
)
二丈の
捕縄
(
とりなわ
)
が、今に、てめえの
喉首
(
のどくび
)
をお見舞い申して、その五体を俵ぐくりに締めあげるぞ。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうだ、ましてや杢之進の持つ
弄具
(
おもちゃ
)
同様な十手や
捕縄
(
とりなわ
)
で、その
溢
(
あふ
)
れる力がせき切れるものか! ……
増長天王
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老いたりといえど、塙江漢、
対手
(
あいて
)
が、あらわに姿を見せて参れば、方円流二丈の
捕縄
(
とりなわ
)
は、この
袂
(
たもと
)
から走って飛ぶ——。まさか、悪魔の首領も、そんな愚か者ではあるまい。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
辛くも投げた人助けの
捕縄
(
とりなわ
)
で、
焔
(
ほのお
)
の底から救い上げたお千絵様であろう——右手には、
浄瑠璃
(
じょうるり
)
人形のように、ダラリとなった女の体を抱き、左に、お綱の帯をつかんだ——。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
飛んだのは万吉が、絶えて久しぶりに腕っかぎり試みた、
方円流
(
ほうえんりゅう
)
二丈の
捕縄
(
とりなわ
)
。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そっちは
捕縄
(
とりなわ
)
を持つ
渡世
(
とせい
)
、私は裏の闇に棲む人間だけれど、思案に余っていることがあるんだから、渡世を捨てて会ってくれる訳には行きませんか。そういうこの私の家は本郷
妻恋
(
つまごい
)
一丁目——
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一に弓、二に
弩
(
つよゆみ
)
、三に
鎗
(
やり
)
、四に刀、五に剣、六に
鍵矛
(
かぎほこ
)
、七に
楯
(
たて
)
、八に
斧
(
おの
)
、九に
鉞
(
まさかり
)
、十に
戟
(
げき
)
、十一に
鉄鞭
(
てつべん
)
、十二に
陣簡
(
じんのたて
)
、十三に棒、十四に
分銅鎌
(
ふんどうがま
)
、十五に
熊手
(
くまで
)
、十六に
刺叉
(
さすまた
)
、十七に
捕縄
(
とりなわ
)
、十八に
白打
(
くみうち
)
。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして
狼
(
おおかみ
)
が
食
(
く
)
い物へとびつくかのように、覆面の者どもが一せいにそのなかへゾロゾロはいると、たちまち
鉄砲
(
てっぽう
)
、
鉄弓
(
てっきゅう
)
、
槍
(
やり
)
、
捕縄
(
とりなわ
)
など、おもいおもいな
得物
(
えもの
)
をえらび、
丹羽昌仙
(
にわしょうせん
)
の
指揮
(
しき
)
にみちびかれて
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“捕縄”の意味
《名詞》
捕縄(ほじょう)
犯人や罪人などを捕らえ拘束するための縄。とりなわ。
(出典:Wiktionary)
捕
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
縄
常用漢字
小4
部首:⽷
15画
“捕縄”で始まる語句
捕縄供養
捕縄術
捕縄十手