かゝへ)” の例文
表坊主に横井榮伯があつて、氏名がやゝ似てゐるが、これは別人であらう。あるひは想ふに、永井氏は諸侯のかゝへ醫師もしくは江戸の町醫ではなからうか。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
聞て九郎兵衞に取拵とりこしらへごとを云はせんとする心底しんてい不屆きなり安五郎と云は是に居る松平玄蕃頭家來石川安五郎なるぞかれ駿府すんぷ二丁目小松屋のかゝへ遊女いうぢよ白妙しろたへと申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
裏庭に一とかゝへに餘る松の老木があるので知られた家で、先代の主人八郎兵衞は病弱のため五年前に隱居し、家督かとくを夫婦養子の勝藏お元に讓つて、老妻のお妻と二人
仮令たとひ良人にゆるし難き大失策があつても、基督の精神を以て其の罪をゆるす、と夫人の理想はまア出たいのであるが、かゝへあれど柳は柳哉、幾程いくら基督の精神を持つてゐる令夫人でも
未亡人と人道問題 (新字旧仮名) / 二葉亭四迷(著)
そのつらゝあまたさがりたるなかには、長きは十丈ばかり太さはかゝへもあるべし。
みち此処こゝで二すぢになつて、一すぢはこれからぐにさかになつてのぼりもきふなり、くさ両方りやうはうから生茂おひしげつたのが、路傍みちばたかどところにある、それこそ四かゝへさうさな、五かゝへもあらうといふ一ぽんひのき
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
町奉行所へ呼出よびいだされ又井戸源次郎もまかり出しに越前守出座有て四郎左衞門其方かゝへうつせみと申遊女は善右衞門より買取かひとりしとなコリヤ善右衞門其方は空せみと申女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
錦の厚板あついたの一とかゝへほどあるのが、笹野新三郎の手に殘ると、お小夜は脱兎だつとの如く身を拔けて
こゝ江戸えど新吉原町しんよしはらまち松葉屋半左衞門まつばやはんざゑもんかゝへ遊女いうぢよ瀬川せがはをつとかたきうちしより大岡殿の裁許さいきよとなり父の讐迄あだまでうち孝貞かうていの名をあらは而已のみ遊女いうぢよかゞみたゝへられそれため花街くるわ繁昌はんじやうせし由來を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
サツと顏色を變へて立上がるお濱の手から、一とかゝへの松と竹を奪ひ取りました。