寒山かんざん)” の例文
拾得じつとく食器しよくきあらひますときのこつてゐるめしさいたけつゝれてつてきますと、寒山かんざんはそれをもらひにまゐるのでございます。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
虎に倚懸よりかかってみんな昼寝しているのだ。豊干ぶかんはもとより先生である。僕は寒山かんざんだか拾得じっとくだか、それは知らないが、一人の欠けていることが物足りない気がした。
西隣塾記 (新字新仮名) / 小山清(著)
寒山かんざん拾得じっとくの叔父さんにでも当る者に無学文盲のこの男があったのではあるまいかと思われた。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
左の方の柱には古笠と古蓑ふるみのとが掛けてあつて、右の方の暖炉だんろの上には写真板の手紙の額が黒くなつて居る。北側の間半けんはんの壁には坊さんの書いた寒山かんざんの詩の小幅が掛つて居るが極めて渋い字である。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
すると七部集の監修をするのも「くう」と考へはしなかつたであらうか? 同時に又集を著はすのさへ、実は「悪」と考へる前に「空」と考へはしなかつたであらうか? 寒山かんざんは木の葉に詩を題した。
芭蕉雑記 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
二人は寒山かんざん拾得じつとくのやうに声を合せて笑つた。
「はあ」とつて、りよ二足ふたあし三足みあしあるいてからうた。「それから唯今たゞいま寒山かんざんおつしやつたが、それはどうかたですか。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
寒山かんざんせがれ6・23(夕)
嘯詠しょうえい 寒山かんざんに擬し
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しかしこの説明せつめいこうそうせなかつた。子供こどもにはむかし寒山かんざん文殊もんじゆであつたのがわからぬとおなじく、いま宮崎みやざきさんがメツシアスであるのがわからなかつた。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
もつときうしたのは、寒山かんざん文殊もんじゆで、拾得じつとく普賢ふげんだとつたために、文殊もんじゆだの普賢ふげんだののことはれ、それをどうかかうかこたへると、またその文殊もんじゆ寒山かんざん
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
「はゝあ。寒山かんざんてをられますか。それはねがつてもことです。どうぞ御苦勞ごくらうついでくりや御案内ごあんないねがひませう。」
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
この寒山かんざん拾得じつとく」とはなしは、まだ書肆しよしにわたしはせぬが、多分たぶん新小説しんせうせつることになるだらう。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
国清寺に拾得じっとくと申すものがおります。実は普賢ふげんでございます。それから寺の西の方に、寒巌という石窟せきくつがあって、そこに寒山かんざんと申すものがおります。実は文殊もんじゅでございます。
寒山拾得 (新字新仮名) / 森鴎外(著)