大磯おほいそ)” の例文
それならばまあいゝのだが、先日「今年の夏も」と男の子どもにせびられるに任せて、大磯おほいそで法外な値をつけられた貸別荘をどうやら借りた。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
声 大磯おほいそ監視哨報告、三機より成る敵の軽爆撃隊は驚くべき快速力を以て、大磯上空を通過せり。高度二千、北進。北進。
此の頃にはかに其の影を見せぬは、必定函根はこねの湯気す所か、大磯おほいそ濤音なみおとゆるあたり何某殿なにがしどのと不景気知らずの冬籠ふゆごもり、ねたましの御全盛やと思ひの外、に驚かるゝものは人心
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
連てゆかねばならぬ近くて沼津ぬまづ三島みしまとほくて小田原大磯おほいそなり夫迄は行まいが太儀たいぎながら手前たちせい出してくれ骨はぬすまぬと云に雲助共聞て口々に何親方の事だからかういふ時にでもほねをらずば何時恩を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
大磯おほいそちかくなつてやつ諸君しよくん晝飯ちうはんをはり、自分じぶんは二空箱あきばこひとつには笹葉さゝつぱのこり一には煮肴にざかなしるあとだけがのこつてやつをかたづけて腰掛こしかけした押込おしこみ、老婦人らうふじんは三空箱あきばこ丁寧ていねいかさねて
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
此二このふたつ悲劇ひげきをわつて彼是かれこれするうち大磯おほいそくと女中ぢよちゆうが三にんばかり老人夫婦としよりふうふ出迎でむかへて、その一人ひとりまどからわたしたつゝみ大事だいじさうに受取うけとつた。其中そのなかには空虚からつぽ折箱をりも三ツはひつてるのである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
汽車きしや大磯おほいそるとぐ(吾等われら二人ふたりぎりになつたので)
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)