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おほいそ
慾張抜いて
大急ぎで
歩いたから
咽が
渇いて
為様があるまい
早速茶を
飲うと
思ふたが、まだ
湯が
沸いて
居らぬといふ。
と
凧が
言ひました。
父さんが
大急ぎで
糸を
出しますと、
凧は
左右に
首を
振つたり、
長い
紙の
尾をヒラ/\させたりしながら、さも
心持よささうに
揚つて
行きました。
此の頃
俄に其の影を見せぬは、必定
函根の湯気
蒸す所か、
大磯の
濤音冴ゆる
辺に
何某殿と不景気知らずの
冬籠り、
嫉ましの御全盛やと思ひの外、
実に驚かるゝものは人心
連て
行ねばならぬ近くて
沼津か
三島遠くて小田原
大磯なり夫迄は行まいが
太儀ながら手前
達精出して
呉骨は
盜ぬと云に雲助共聞て口々に何親方の事だから
斯云時にでも
骨を
折ずば何時恩を