“濤音”の読み方と例文
読み方割合
なみおと100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
れんは捲かれ、四方は開け放たれ、ここも濤音なみおとのような松風のなかにって、夏もわすれる涼しさのかわりに、燭の明滅ははなはだしい。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幾人の人を癒やし、幾人の人を殺した此寝台の上、親み慣れた薬の香を吸うて、濤音なみおと遠き枕に、夢むともなく夢むるのは十幾年の昔である。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
此の頃にはかに其の影を見せぬは、必定函根はこねの湯気す所か、大磯おほいそ濤音なみおとゆるあたり何某殿なにがしどのと不景気知らずの冬籠ふゆごもり、ねたましの御全盛やと思ひの外、に驚かるゝものは人心
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)