大火たいくわ)” の例文
餘事よじだけれど、大火たいくわに——茅場町かやばちやう髮結床かみゆひどこ平五郎へいごらう床屋とこやがあつて、ひとみなかれを(床平とこへい)とんだ。——これけた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あざむとり仕合しあはせよしと微笑合ほゝゑみあひこれかうしてあゝしてとおごる事而已のみ談合かたらひけりさて其年そのとしくれあくれば享保きやうほ九年春も三月となりしに江戸中えどぢう大火たいくわに付此白子屋も諸侯方しよこうがたはじ多分たぶんよう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
おもはず慄立よだてたのは、さく十四年じふよねん五月ごぐわつ二十三日にじふさんにち十一時じふいちじ十分じつぷん城崎きのさき豐岡とよをか大地震おほぢしん大火たいくわ號外がうぐわいると同時どうじであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その前夜ぜんやのあの暴風雨ばうふううをわすれたやうに、あさかられ/″\とした、お天氣模樣てんきもやうで、つじつてれいしたほどである。おそろしき大地震おほぢしん大火たいくわために、大都だいとなかば阿鼻焦土あびせうどとなんぬ。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いつか、吉原よしはら大火たいくわもおなじであつた。しかもまだだれわすれない、あさからすさまじい大風おほかぜで、はなさかりだし、わたし見付みつけから四谷よつや裏通うらどほりをぶらついたが、つちがうづをいてけられない。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)