大差たいさ)” の例文
柄は木質にてちて居りし事故、如何いかなる方法にて石斧いしおのくくり付けしか詳ならされど、其状そのじやう現今げんこんおこなはるるタガネと大差たいさ無かりしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
大島伸一先生おほしましんいちせんせいなかつたなら、此小學校このせうがくかうた、世間せけんりふれたもの大差たいさなくをはつたかもれません。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
二ではうたいの「善知鳥うとう」など、三では「阿漕あこぎ」、「鵜飼うがひ」などその適例てきれいである。幽靈ゆうれいがいして全體ぜんたい性質せいしつ陰氣いんきで、すごいものである。相貌さうぼうなども人間にんげん大差たいさはない。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
もちろんキンチャコフも、意識だけがよみがえったというだけで、ゴンドラの底に身うごきもしないで転っていることは、六条の場合と大差たいさなかったのである。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
極端きよくたんにたとへれば、天鵞絨びろうど寢臺しんだいたてにして、男女ふたりところを、廣告びら持歩行もちあるいたと大差たいさはない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此時このとき帝國大學地震學教室ていこくだいがくぢしんがくきようしつける地動ちどう二寸にすん七分しちぶおほいさに觀測かんそくせられたから、おな臺地だいち湯島ゆしまおいても大差たいさなかつたはずとおもふ。したがつて階上かいじよう動搖どうよう六七寸ろくしちすんにもたつしたであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
それだから追分おひわけ何時いつでもあはれにかんじらるゝ。つまるところ卑怯ひけふな、臆病おくびやう老人らうじん念佛ねんぶつとなへるのと大差たいさはないので、へてへば、不殘のこらずふしをつけた不平ふへい獨言つぶやきである。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)