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いいだくだく
ふりがな文庫
“
唯々諾々
(
いいだくだく
)” の例文
そこでぼくは
彼女達
(
かのじょたち
)
に
婉然
(
えんぜん
)
と頼まれると、
唯々諾々
(
いいだくだく
)
としてひき受け、その夜は首をひねって、彼女の
桃色
(
ももいろ
)
のノオトに書きも書いたり
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
彼らはその理想さえ主張出来得れば、曾て犯した唯心論的文学の古き様式をさえも、
唯々諾々
(
いいだくだく
)
として受け入れているではないか。
新感覚派とコンミニズム文学
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
彼らは第一の左甚五郎の如く、ただ
唯々諾々
(
いいだくだく
)
として己れを造った人間に
弄
(
もてあそ
)
ばれ、その人の娯楽のために動くような人間を造るのであろうか。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
二百余名の甲府勤番がそれで納まるか知らん、駒井を頭にいただいて
唯々諾々
(
いいだくだく
)
とその
後塵
(
こうじん
)
を拝して納まっているか知らん。
大菩薩峠:11 駒井能登守の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
王仁とそのままでは済まない
筈
(
はず
)
だが、木兵衛という奴、理知聡明、学者然、
乙
(
おつ
)
にすまして、くだらぬ女に
惚
(
ほ
)
れてひきずり廻されて、
唯々諾々
(
いいだくだく
)
というのだが
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
これは源吉の
自惚
(
うぬぼ
)
れでもなんでもなかった。京子は、明かに彼に好意を持っていたのだ。それは源吉の持出した「堅い約束」に、
唯々諾々
(
いいだくだく
)
と応じたのだから——。
鉄路
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「副統も副統だ、なんで
唯々諾々
(
いいだくだく
)
とお引っ返しなすったのか。李応とかいう奴、二タ
股
(
また
)
者
(
もの
)
にちげえねえ。まずその李家荘からさきに蹴ちらそうじゃございませんか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
綾子はこれを見て見ぬふり、黙許して
咎
(
とが
)
めざれば、召使のものは
為
(
せん
)
術
(
すべ
)
なく、お丹の命令に
唯々諾々
(
いいだくだく
)
。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし頼該自身がまことに
唯々諾々
(
いいだくだく
)
として高松へ移ったので、家臣たちの反対は騒動に及ばずして
歇
(
や
)
んだ。これはかれの性根の一部をよく表わしている事の一つである。
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そして親切なブラドンの行動は、すべて巧妙に計画されたもので、なにも知らないアリスが、ブラドンの心づくしを
悦
(
よろこ
)
んで
唯々諾々
(
いいだくだく
)
と医師へ同伴されたりしているうちに
浴槽の花嫁
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
その
大兵
(
たいひょう
)
の
露助
(
ろすけ
)
は、小さい日本兵の尖った
喧嘩腰
(
けんかごし
)
の命令に、
唯々諾々
(
いいだくだく
)
と、
寧
(
むし
)
ろニコニコしながら、背後から追いたてられて、便所などに、
悠々
(
ゆうゆう
)
と大股に
往
(
い
)
ったりしていた。
戦争雑記
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
態〻
(
わざわざ
)
送って来た人が
唯々諾々
(
いいだくだく
)
として送られて行く。高輪から品川までは大分話しでがある。しかし二人は未だ飽き足らない。駅前に辿りついた時、俊一君は腕時計に見入って
嫁取婿取
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
唯々諾々
(
いいだくだく
)
としていられるのは、一方では親という絶対の
専制君主
(
せんせいくんしゅ
)
の下に生まれ落ちるから圧迫されて、極端に
奴隷
(
どれい
)
的の心持ちをやしなわれ、一方ではのんきなむかしの時代の人は
親子の愛の完成
(新字新仮名)
/
羽仁もと子
(著)
私があまりに
唯々諾々
(
いいだくだく
)
と従ったら、周さんは敏感に察したらしく、声を挙げて笑い
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
わしは非常な変り者で、理解し難い命令を下す様なこともあろうが、それを少しも反問せず、
唯々諾々
(
いいだくだく
)
として
遵奉
(
じゅんぽう
)
するという約束で、その代り給金は世間並の倍額を与えることにした。
白髪鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
自分が、心を掛けるとどの女も、
唯々諾々
(
いいだくだく
)
として自分の心のままに従った。が、それは自分を愛しているのではない、ただ臣下として、君主の前に義務を尽くしているのに過ぎなかった。
忠直卿行状記
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
何事も
唯々諾々
(
いいだくだく
)
としてその命に従い、あるいは又、内部に反感等を
抱
(
いだ
)
きながら表面には唯これに従うごときは、わが望むところにはこれなく候。生命ある真の服従こそわが常の願いに候。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
僕の意志の薄弱なのにも困るかも知れないが、君の意志の強固なのにも
辟易
(
へきえき
)
するよ。うちを出てから、僕の云う事は一つも通らないんだからな。全く
唯々諾々
(
いいだくだく
)
として命令に服しているんだ。
二百十日
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
発行するや最初は何事も
唯々諾々
(
いいだくだく
)
主筆のいふ処に従ふといへども号を追ふに従つてあたかも女房の小うるさく物をねだるが如く機を見折を窺ひ
倦
(
う
)
まず
撓
(
たゆ
)
まず内容を俗にして利を得ん事のみ図る。
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
弟はその子に対しては、いつも
唯々諾々
(
いいだくだく
)
としているようであった。
生い立ちの記
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
老父は至極簡単で、もの事を逆にいえば
唯々諾々
(
いいだくだく
)
なのである。
旧聞日本橋:09 木魚の配偶
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
即座に
唯々諾々
(
いいだくだく
)
と署名し拇印を押しました。
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
この事実に
徴
(
ちょう
)
すれば温和を主とするとはいえ、必ずしも不正なる要求に対しても
唯々諾々
(
いいだくだく
)
、これに
盲従
(
もうじゅう
)
せよとの意ではなかったことがわかる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
剣把
(
けんぱ
)
をたたくと、人々は、もう
顫
(
ふる
)
えあがって、
唯々諾々
(
いいだくだく
)
と、彼の命のままうごくしかなかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雄吉が、青木の依頼を
唯々諾々
(
いいだくだく
)
としてきいたのはむろんである。雄吉は、自分が青木の代人としてそうした大金を引き出すのを、一個の名誉であるがごとく、欣んで○○銀行支店へ駆けつけた。
青木の出京
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
とお二方は
唯々諾々
(
いいだくだく
)
という
体
(
てい
)
を示した。
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
必ずしも、世間通りに従う理由はない。もしなにもかも
唯々諾々
(
いいだくだく
)
と、世の
風潮
(
ふうちょう
)
によるならば、進歩することはなくなる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
仲達の言葉に、郭淮は
唯々諾々
(
いいだくだく
)
ふたたび城を出た。つづいて彼は
麾下
(
きか
)
の張郃を招いて云った。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
汝、日頃より君寵をかさに着て、しかも今日まで、
碌々
(
ろくろく
)
と無策にありながら、われら三代の宿将にも議を
諮
(
はか
)
らず、必勝の
的
(
あて
)
もなき命をにわかに発したとて、何で
唯々諾々
(
いいだくだく
)
と服従できようか。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、胸にひとり
忍辱
(
にんじょく
)
のなみだをのんで、何事にも、
唯々諾々
(
いいだくだく
)
と伏していた。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
唯々諾々
(
いいだくだく
)
である。
糜竺
(
びじく
)
は命ぜられるまま、倉皇として帰って行った。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
唯
常用漢字
中学
部首:⼝
11画
々
3画
諾
常用漢字
中学
部首:⾔
15画
々
3画
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唯々諾