和郎わろ)” の例文
そうか。和郎わろにもそう考えるか。大をさんとすれば、よろしく仁を施さねばならぬ。——幼い頼朝ごとき者、打首にしても、世上に眉を
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
足をおさえた片手をうしろへ、腰の両提ふたつさげの中をちゃらちゃらさせて、爺様じさま頼んます、鎮守ちんじゅ祭礼まつりを見に、頼まれた和郎わろじゃ、と言うと、船を寄せた老人としよりの腰は
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「はて、天狗じゃない、人間じゃというに……。和郎わろもそのいたずら者を見つけたら、教えてくりゃれ」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ろくでなしの和郎わろめ! 彼奴あいつらに阿呆あはうにされてたまるかいの。彼奴あいつらの無頼仲間ごろつきなかまぢゃありゃせぬわい。
帳場の和郎わろ(彼れは所きらわずつばをはいた)が寝言べこく暇に、俺ら親方と膝つきあわして話して見せるかんな。白痴奴こけめ。俺らが事誰れ知るもんで。わりゃ可愛いぞ。心から可愛いぞ。し。宜し。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「ほほ、——げ脚の速い和郎わろじゃ!」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
和郎わろは、どこに耳をもっているのだ。たれが、ふたたび坊主にかえるなどということを、承知したか」
「はて、しつこい和郎わろじゃ。ただ足休めに立ち寄られたまでじゃ。別に子細はないと言うに……。」
小坂部姫 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
小次郎法師は、掛茶屋かけじゃやひさしから、そら蝙蝠こうもりを吹出しそうに仰向あおむいた、和郎わろつらななめに見って
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ろくでなしの和郎わろめが!……(ロミオに對ひて)もし/\、貴下こなたさまえ、最前さいぜんまうしましたが、わしひいさまが、貴下こなたさがしていとの吩咐いひつけでな、その仔細わけあとにして、うてくことがござります
山𤢖のわろはおそら和郎わろという意味であろう。で、おおきいのを山男といい、小さいのを山𤢖と云うらしいが、くは判らぬ。まだ其他そのほか山姥やまうばといい、山女郎やまじょろうと云う者もある。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
なぜ、和郎わろは、母方ははかたの身よりへ無心に行きなさらぬ。わろの母御前ははごぜは、みな、れッきとした、藤原の朝臣あそんとやら、中御門様とやら、きら星な御貴人ぞろいではおわさぬか。
耳をおおうまで髪の伸びた、色の黒い、巌乗がんじょう造りの、身の丈抜群なる和郎わろ一人。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三の烏 なぞとな、おふためが、ていい事をぬかす癖に、朝烏の、朝桜、朝露の、朝風で、朝飯を急ぐ和郎わろだ。何だ、仇花なりとも、美しく咲かしておけば可い事だ。からからからと笑わせるな。
紅玉 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
和郎わろにわからんか。つもっても見い。——あれは義朝の三男じゃぞ。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ええ、そうぞうしい和郎わろじゃ」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
三の烏 なぞとな、おふためが、ていい事をぬかす癖に、朝烏あさがらすの、朝桜、朝露あさつゆの、朝風で、朝飯を急ぐ和郎わろだ。何だ、仇花あだばななりとも、美しく咲かして置けばい事だ。から/\からと笑はせるな。
紅玉 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「何をいう。和郎わろ等を、そうさせたくないばかりに、この父は」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(京への、京へ、遠くへ行ている、弟和郎わろに、一目ひとめ未練が残るげな。)
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
和郎わろはの。」
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)