トップ
>
吾妻
>
あづま
ふりがな文庫
“
吾妻
(
あづま
)” の例文
二個の黒影——
二重外套
(
ふたへぐわいたう
)
と
吾妻
(
あづま
)
コウト——は石像の如くして銀座の
方
(
かた
)
へ、立ち去れり、チヨツと舌打ちつゝ元の車台へ腰を下ろしたる車夫
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
女は
吾妻
(
あづま
)
下駄を
突
(
つつ
)
かけると、心配さうに店へ捜しに来た。ぼんやりした小僧もやむを得ず罐詰めの間などを覗いて見てゐる。
あばばばば
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
自家
(
うち
)
でもべちやくちやと、厭がらせを言つて行きましたが、
吾妻
(
あづま
)
さんのところでも、随分色々なことを言つたさうですよ。
花が咲く
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
「文次郎は薄暗くなるのを
狙
(
ねら
)
つて、蜘蛛が巣を張る前にあの東窓から入つて、
吾妻
(
あづま
)
屋を殺して脱出した。それで何も彼も解るぢやないか。ね、八五郎親分」
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平七は、ぼんやりとした顔つきで、ふらふらと土手を
下
(
しも
)
へ下って行くと、
吾妻
(
あづま
)
橋の方へ曲っていった。
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
▼ もっと見る
不思議にも無難に
踏留
(
ふみとどま
)
りし車夫は、この
麁忽
(
そこつ
)
に気を奪れて立ちたりしが、面倒なる相手と見たりけん、そのまま
轅
(
かぢ
)
を回して逃れんとするを、俥の上なる
黒綾
(
くろあや
)
の
吾妻
(
あづま
)
コオト着て
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
長吉
(
ちやうきち
)
は
顫
(
ふる
)
へた。お
糸
(
いと
)
である。お
糸
(
いと
)
は
立派
(
りつぱ
)
なセルの
吾妻
(
あづま
)
コオトの
紐
(
ひも
)
を
解
(
と
)
き/\
上
(
あが
)
つて来た。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
女は
紙包
(
かみづゝみ
)
を
懐
(
ふところ
)
へ入れた。其手を
吾妻
(
あづま
)
コートから
出
(
だ
)
した時、白い
手帛
(
ハンケチ
)
を持つてゐた。鼻の所へ宛てゝ、三四郎を見てゐる。
手帛
(
ハンケチ
)
を
嗅
(
か
)
ぐ様子でもある。やがて、其手を不意に
延
(
の
)
ばした。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
明治廿四年浅草公園裏の
吾妻
(
あづま
)
座(後の宮戸座)で、
伊井蓉峰
(
いいようほう
)
をはじめ男女合同学生演劇済美館の旗上げをした時、
芳町
(
よしちょう
)
の芸妓
米八
(
よねはち
)
には
千歳米波
(
ちとせべいは
)
と名乗らせた時分だったか、もすこし
後
(
あと
)
で
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
銀杏返
(
いてふがへし
)
に結つた髪、黒の紋附の
縮緬
(
ちりめん
)
の羽織、新しい
吾妻
(
あづま
)
下駄、年は取つてもまだ何処かに昔の美しさと
艶
(
あで
)
やかさとが残つてゐて、それがあたりの荒廃した物象の中にはつきりと
際立
(
きはだ
)
つて見えた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
吾妻
(
あづま
)
山……鳥甲山……
国見
(
くにみ
)
岳……山へ登っては温泉へ泊り、温泉へ泊っては山へ登って、一週間余りも遊び暮したでしょうか? 最後に高岩山へ登って、あれから戸石川の渓谷に沿って南有馬へ出て
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
谿ふかくしろきは
吾妻
(
あづま
)
山
(
やま
)
なみの
雪解
(
ゆきげ
)
のみづのたぎつなるらし
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
子ゆゑ
吾妻
(
あづま
)
の鶯は
角豆畑
(
ささげばたけ
)
に啼いてゐる
沙上の夢
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
鳥の
啼
(
な
)
く
吾妻
(
あづま
)
の国に生れしが
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
吾妻
(
あづま
)
の
牧
(
まき
)
大山
(
だいせん
)
木曾
(
きそ
)
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
相生河岸
(
あいおいがし
)
、
安宅河岸
(
あたかがし
)
、両国河岸、
厩
(
うまや
)
河岸と、やがて
吾妻
(
あづま
)
河岸にさしかかってもなお右岸ばかりを見捜しつづけていたものでしたから、しきりに伝六が首をひねっていると
右門捕物帖:13 足のある幽霊
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
控へたりし人の出でざるはあらざらんやうに、
往来
(
ゆきき
)
の常より
頻
(
しきり
)
なる午前十一時といふ頃、
屈
(
かが
)
み勝に疲れたる車夫は、泥の
粉衣
(
ころも
)
掛けたる車輪を
可悩
(
なやま
)
しげに
転
(
まろば
)
して、
黒綾
(
くろあや
)
の
吾妻
(
あづま
)
コオト着て
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
座敷外に脱ぎたる
紫裏
(
むらさきうら
)
の
吾妻
(
あづま
)
コオトに目留めし満枝は、
嘗
(
かつ
)
て知らざりしその
内曲
(
うちわ
)
の客を問はで止む
能
(
あた
)
はざりき。又常に厚く
恵
(
めぐま
)
るる老婢は、彼の為に始終の様子を
告
(
つぐ
)
るの労を
吝
(
をし
)
まざりしなり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
吾
漢検準1級
部首:⼝
7画
妻
常用漢字
小5
部首:⼥
8画
“吾妻”で始まる語句
吾妻橋
吾妻下駄
吾妻鏡
吾妻山
吾妻川
吾妻村
吾妻屋
吾妻座
吾妻袂
吾妻鑑