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ふりがな文庫
“
古渡
(
こわた
)” の例文
「はてな。あれやあほんとの
古渡
(
こわた
)
りで、新渡の
贋物
(
いかもの
)
を売ったわけでもないが。……その梅掌軒ていうなあ
汁粉屋
(
しるこや
)
か何かですか」
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白牡丹
(
はくぼたん
)
で買ったばかりの
古渡
(
こわた
)
りの
珊瑚
(
さんご
)
の根掛けや、
堆朱
(
ついしゅ
)
の
中挿
(
なかざ
)
しを、いつかけるような体になられることやらと、そんなことまで心細そうに言い出した。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そこいらにザラにある珈琲茶碗じゃない。舶来最極上の骨灰焼だ。底を覗いてみると孔雀型の刻印があるからには勿体なくもイギリスの
古渡
(
こわた
)
りじゃないか。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、骨董好きが
古渡
(
こわた
)
りの
茶盌
(
ちやわん
)
でも見るやうな、うつとりした眼つきで自分の手首に
穿
(
はま
)
つた手錠に
見惚
(
みと
)
れてゐる。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「全く退屈ぢやありませんか、ね親分。こんな
古渡
(
こわた
)
りの退屈を喰つちや、御用聞は腕が
鈍
(
にぶ
)
るばかりだ。なんか斯う胸へドキンと來るやうな事はないものでせうか」
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
形
(
かた
)
の如く
結城
(
ゆふき
)
の
単衣物
(
ひとへもの
)
に、八反の平ぐけを締めたのが、上に羽織つた
古渡
(
こわた
)
り
唐桟
(
たうざん
)
の半天と一しよに、その苦みばしつた男ぶりを、一層いなせに見せてゐる趣があつた。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それで幇間にその煙草入をくれてしまった、それが薄色珊瑚の緒〆に
古渡
(
こわた
)
りの金唐革というわけだ。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
これは
古渡
(
こわた
)
りの
無疵
(
むきず
)
で
斑紋
(
けら
)
のない
上玉
(
じょうだま
)
で、これを差上げ様と存じます……お根付、へい左様で、
鏡葢
(
かゞみぶた
)
で、へい矢張り
青磁
(
せいじ
)
か何か時代のがございます、
琥珀
(
こはく
)
の様なもの、へえ
畏
(
かしこま
)
りました
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
外套
(
がいとう
)
の裏は
繻子
(
しゅす
)
でなくては見っともなくて着られないと云ったり、
要
(
い
)
りもしないのに
古渡
(
こわた
)
りの
更紗玉
(
さらさだま
)
とか号して、石だか
珊瑚
(
さんご
)
だか分らないものを
愛玩
(
あいがん
)
したりする話はいまだに覚えていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
源右衛門に注意されて、忠三郎はその一軸を一応あらためた上で、
唐桟
(
とうざん
)
の大風呂敷につつんだ。軸は
古渡
(
こわた
)
りの
唐更紗
(
とうさらさ
)
につつんで桐の箱に納めてあるのを、更にその上から風呂敷に包んだのである。
半七捕物帳:27 化け銀杏
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
石川左近将監自慢の、
呂宋
(
ルソン
)
古渡
(
こわた
)
りのお茶壺です。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
能
(
よく
)
こそ心掛給ひしと
甚
(
いた
)
く
賞美
(
しやうび
)
なし外々にて才覺致候はんと申ければ隱居は暫く考へ
脊負葛籠
(
せおひつゞら
)
一ツ取出し中より
猩々緋
(
しやう/″\ひ
)
虎
(
とら
)
の
皮
(
かは
)
古渡
(
こわた
)
りの
錦
(
にしき
)
金襴
(
きんらん
)
八
反
(
たん
)
掛茶入
(
かけちやいれ
)
又は
秋廣
(
あきひろ
)
の短刀五
本骨
(
ほんぼね
)
の
扇
(
あふぎ
)
の三
處拵
(
ところごしら
)
への
香箱
(
かうばこ
)
に
名香
(
めいかう
)
品々
(
しな/″\
)
其外金銀の小道具を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ご
冗戯
(
じょうだん
)
でしょう。
新渡
(
しんと
)
じゃあござんせんぜ。これくらいな
古渡
(
こわた
)
りは、
長崎
(
あっち
)
だって
滅多
(
めった
)
にもうある品じゃないんで」
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「全く退屈じゃありませんか、ね親分。こんな
古渡
(
こわた
)
りの退屈を喰っちゃ、御用聞は腕が鈍るばかりだ。なんかこう胸へドキンと来るような事はないものでしょうか」
銭形平次捕物控:103 巨盗還る
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
古渡
(
こわた
)
りの
茶入
(
ちやいれ
)
、
楽茶盌
(
らくぢやわん
)
、茶杓、——といつたやうな道具が、まるで魔法使の家の小さな動物たちが、主人の老女の持つ銀色の指揮杖の動くがままに跳ねたり躍つたりするやうに
侘助椿
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
練物
(
ねりもの
)
で作ったのへ指先の
紋
(
もん
)
を押しつけたりして、時々
旨
(
うま
)
くごまかした
贋物
(
がんぶつ
)
があるが、それは
手障
(
てざわ
)
りがどこかざらざらするから、本当の
古渡
(
こわた
)
りとは
直
(
すぐ
)
区別できるなどと
叮嚀
(
ていねい
)
に女に教えていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「でも、花嫁が駕籠の中で殺されるなんざ江戸開府以來でも
古渡
(
こわた
)
りの方ぢやありませんか。ね、親分」
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……
古渡
(
こわた
)
りの
珊瑚
(
さんご
)
の珠、帯止めや何かの金銀もの、それに着ているお召物など、身のまわりの物そッくりお預かりいたしまして、その代りに、手前どもの流れ物で
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
塵居
(
ちりゐ
)
の
御影
(
みかげ
)
、
古渡
(
こわた
)
りの
御經
(
みきやう
)
の
文字
(
もじ
)
や
愛
(
めて
)
しれて
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
「でも、花嫁が駕籠の中で殺されるなんざ江戸開府以来でも
古渡
(
こわた
)
りの方じゃありませんか。ね、親分」
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
唐桟
(
とうざん
)
の新渡も
古渡
(
こわた
)
りもわからないでは、一反の縞に、二十金も出すような物好きにはなれない。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
塵居
(
ちりゐ
)
の
御影
(
みかげ
)
、
古渡
(
こわた
)
りの
御經
(
みきやう
)
の文字や
愛
(
めで
)
しれて
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「成程、そいつは
古渡
(
こわた
)
りの大變らしいな。誰だい、その名乘つて出た下手人といふのは?」
銭形平次捕物控:322 死の秘薬
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「自分では、たしかな、
古渡
(
こわた
)
りだとぞんじますから」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「サア、親分、御輿を上げて下さいよ。今度こそ本當の大變、——
古渡
(
こわた
)
りの大變ツ」
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「何んだぢやありませんよ。大變も大變、
古渡
(
こわた
)
りの大變、江戸中の大騷ぎですよ」
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「チエツ、
古渡
(
こわた
)
りの岡つ引が聞いて呆れらア、俺は唯の岡つ引で澤山だよ」
銭形平次捕物控:225 女護の島異変
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
古
常用漢字
小2
部首:⼝
5画
渡
常用漢字
中学
部首:⽔
12画
“古渡”で始まる語句
古渡唐桟
古渡珊瑚
古渡更紗
古渡城
古渡資秀