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到底
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とて
ふりがな文庫
“
到底
(
とて
)” の例文
世捨人になっていながら恥かしいなんかてえ事があるものか、私が連れて
行
(
ゆ
)
かねば
到底
(
とて
)
も来そうもない、さア一緒に来なさい
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
到底
(
とて
)
も
此
(
こ
)
の
疲
(
つか
)
れやうでは、
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
るわけには
行
(
ゆ
)
くまいと
思
(
おも
)
つたが、ふと
前途
(
ゆくて
)
に、ヒイヽンと
馬
(
うま
)
の
嘶
(
いなゝ
)
くのが
谺
(
こだま
)
して
聞
(
きこ
)
えた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お前は
到底
(
とて
)
も此樣な
纎弱
(
デリケート
)
なものには適しないといはれたことがあるが、何うしても其の人の人格は隱す譯にはゆかぬ。
彫刻家の見たる美人
(旧字旧仮名)
/
荻原守衛
(著)
己
(
おれ
)
は無学で働きがないから、
己
(
おれ
)
の手では
到底
(
とて
)
も返せない。何とかしてお前の手で償却の道を
立
(
たて
)
て呉れ。之を償却せん時には、先祖の遺産を人手に渡さねばならぬ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ところが意地悪く門前の広場は坂から続いて同じような傾斜をなし、湿った柔い地面に車輪が食込んでしまうので、馬は
疲
(
つか
)
れて
到底
(
とて
)
も一息には曳込む事が出来ない。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
彼は貴方が世に有る間は
到底
(
とて
)
も私を自分の妻にする事は出来ぬと思いましたか、自分では嫉妬の一念に目が眩んだと云いますが私の立ち去った後、貴方が壁の傍へ来て
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
由來僞物の藝は容易に眞似する事が出來るが、肚の藝はさうはいかない。以前は、泉先生の眞似をする人間が隨分澤山あつたが、
到底
(
とて
)
も眞似切れなくなつて、影をひそめてしまつた。
貝殻追放:017 泉鏡花先生と里見弴さん
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
乃公は無論
皆
(
みんな
)
に叱られた。お花さんは
到底
(
とて
)
も乃公を連れて行ってくれまい。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
やっとこなと起かけてみたが、何分両脚の
痛手
(
いたで
)
だから、なかなか起られぬ。
到底
(
とて
)
も
無益
(
むだ
)
だとグタリとなること二三度あって、さて
辛
(
かろ
)
うじて半身起上ったが、や、その痛いこと、覚えず
泪
(
なみだ
)
ぐんだくらい。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
拗
(
ねじ
)
けくねった木がその間に根を張り枝を拡げて、
逆茂木
(
さかもぎ
)
にも似ているが、それがなければ
到底
(
とて
)
も登れぬ場所がある。岩壁や木の根には諸所に
氷柱
(
つらら
)
が下っていた。雨の名残りの
雫
(
しずく
)
が凍ったものであろう。
皇海山紀行
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
如何
(
どう
)
も申されねどお
前
(
まへ
)
さまのお
優
(
や
)
さしさは
身
(
み
)
にしみて
忘
(
わす
)
れませぬ
勿躰
(
もつたい
)
なけれどお
主樣
(
しゆうさま
)
といふ
遠慮
(
ゑんりよ
)
もなく
新參
(
しんざん
)
の
身
(
み
)
のほども
忘
(
わす
)
れて
云
(
い
)
ひたいまゝの
我儘
(
わがまゝ
)
ばかり
兩親
(
ふたおや
)
の
傍
(
そば
)
なればとて
此上
(
このうへ
)
は
御座
(
ござ
)
いませぬ
左
(
さ
)
りながら
悔
(
くや
)
しきは
生來
(
せいらい
)
の
鈍
(
にぶ
)
きゆゑ
到底
(
とて
)
も
御相談
(
ごさうだん
)
の
相手
(
あいて
)
には
五月雨
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
だから
到底
(
とて
)
も私を東京へ
遣
(
や
)
れないという父の言葉に無理もないが、しかし……私は
矢張
(
やっぱり
)
東京へ出たい。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
廃業
(
ひか
)
せるお客海上の顔にもかゝるんですから、立派にして遣らねばならぬ、立派にしてやるが青二才の職人風情に真似の出来るもんか、己と競争
為
(
し
)
ようと思ったッて
到底
(
とて
)
も及ぶまいと
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
忘れて居ました、此の度の事は貴方のお蔭で助かりましたが、之よりも恐ろしい、
到底
(
とて
)
も助かる路がなかろうと思う様な事柄に攻められて居るのです、妻にもなれず、永く此の世に居る事も出来ません
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
余所
(
よそ
)
の国の言葉が国際語になつては承知せん、何でも自分の国の言葉を採用しろと主張する、
到底
(
とて
)
も相談の
纏
(
まと
)
まる見込はない、そこで是はどうでも何か新しい
言語
(
ことば
)
を作つて
エスペラントの話
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
此手紙で見ると、大した事ではないと思っていた父の病気は
其後
(
そのご
)
甚だ宜しくない。まだ医者が見放したのでは無いけれど、自分は最う
到底
(
とて
)
も直らぬと覚悟して、
切
(
しき
)
りに私に会いたがっているそうだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
到
常用漢字
中学
部首:⼑
8画
底
常用漢字
小4
部首:⼴
8画
“到”で始まる語句
到
到頭
到着
到達
到来物
到来
到処
到著
到々
到來