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初更
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しょこう
ふりがな文庫
“
初更
(
しょこう
)” の例文
そこらを無暗に迷いあるいているうちに、夜はだんだんに暗くなって、やがて
初更
(
しょこう
)
(午後七時—九時)に近い頃になったらしいのです。
中国怪奇小説集:14 剪灯新話(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
川をわたる夜の風が、六月といっても少し冷え冷えとして、
初更
(
しょこう
)
過ぎの江戸の静かさは、何とはなしに身に
沁
(
し
)
みます。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかるに西インド辺では日没後一時、また二時して鳴き夜明け前一、二時また鳴くが夜中に鳴かぬ、ある鶏は夜の
初更
(
しょこう
)
に鳴くきりでその他一度も鳴かぬ。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その時
玉
(
ぎょく
)
は
匡山
(
きょうざん
)
の寺へいって勉強していた。ある夜
初更
(
しょこう
)
のころ、枕に
就
(
つ
)
いたところで、窓の外で女の声がした。
阿英
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
でも、
軌
(
わだち
)
の
痕
(
あと
)
はある。宮の牛車のまえにも誰かは通ったものだろう。やがて二条富小路の禁裡の内へ御車が消え入ったのは、すでに
初更
(
しょこう
)
(宵)の頃だった。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
夜
(
よ
)
も
初更
(
しょこう
)
を過ぎつと覚しい時、わずかに一度やや膝を動かして、机の前に寄ったばかり。三日の内にもかばかり長い間降詰めたのは、この時ばかりであった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
鄰近処
(
となりきんじょ
)
の家の戸や窓があけ放されるので、東南から吹いて来る風につれ、四方に湧起るラヂオの響は、朝早くから夜も
初更
(
しょこう
)
に至る頃まで、わたくしの家を包囲する。
鐘の声
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
津の国人と和泉の国人は
憑
(
つ
)
かれたように橘の門の
辺
(
あたり
)
に来て、
初更
(
しょこう
)
まで去らないことは依然続いた。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
もうかれこれ五日ばかり、いつも
初更
(
しょこう
)
を過ぎさえすれば、必ず人目に立たないように、そっと家々を
窺
(
うかが
)
ったのです。勿論何のためだったかは、註を入れるにも及びますまい。
報恩記
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
番町の治右衛門邸へ乗りつけたのが、かれこれもう
初更
(
しょこう
)
近い刻限でした。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そのうちに、夜は
初更
(
しょこう
)
をすぎた。庭の闇に、一かたまりの人影が、ひそかに
佇
(
たたず
)
んで、村重の立座をうながした。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やがて夜の
初更
(
しょこう
)
(午後七時—九時)とおぼしき頃に、家の外から
小児
(
こども
)
の呼ぶ声がきこえた。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
もっともわたしが
搦
(
から
)
め取った時には、馬から落ちたのでございましょう、
粟田口
(
あわだぐち
)
の
石橋
(
いしばし
)
の上に、うんうん
呻
(
うな
)
って居りました。時刻でございますか? 時刻は
昨夜
(
さくや
)
の
初更
(
しょこう
)
頃でございます。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
また
途切
(
とぎれ
)
がちな
爪弾
(
つまびき
)
の
小唄
(
こうた
)
は見えざる
河心
(
かわなか
)
の
水底
(
みなそこ
)
深くざぶりと打込む夜網の音に
遮
(
さえぎ
)
られると、厳重な
御蔵
(
おくら
)
の構内に響き渡る夜廻りの拍子木が夏とはいいながら
夜
(
よ
)
も早や
初更
(
しょこう
)
に近い露の冷さに
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
越えて明くる
夜
(
よ
)
、宵のほどさえ、分けて
初更
(
しょこう
)
を過ぎて、
商人
(
あきんど
)
の灯がまばらになる頃は、人の
気勢
(
けはい
)
も近寄らない榎の下、お兼が店を片附ける所へ、突然と
顕
(
あらわ
)
れ
出
(
い
)
で、いま巻納めようとする
茣蓙
(
ござ
)
の上へ
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
食後、秀吉と景勝とは、相互の家臣を遠ざけて、夕方から
初更
(
しょこう
)
の頃まで、何事か、会談していた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「その朝の鐘は、尋有が
撞
(
つ
)
きます。青蓮院の卯の刻の鐘が鳴りましたら、弟が、見えぬ所から見送っていると思うて下さいませ」といって、尋有はやがて、
初更
(
しょこう
)
のころ
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
法然
(
ほうねん
)
は、宵のうちに、わずかの間を眠っただけで、まだ
初更
(
しょこう
)
の鐘も鳴らないうちから起きていた。そして起きているまは、一秒一瞬のあいだも、念仏を怠らないのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
全陣の将士は、晩の
兵糧
(
かて
)
に、かかっていたが、その一ト
騒
(
ざわ
)
めきの
初更
(
しょこう
)
が過ぎると
私本太平記:12 湊川帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初更
(
しょこう
)
ながら深沈とした奥庭、秋草や
叢竹
(
むらたけ
)
が、程よく配られた
数寄屋
(
すきや
)
の一亭に、古風な
短檠
(
たんけい
)
に灯をともしてパチリ、パチリ、と
闘石
(
とうせき
)
の音……そして、あたりは雨かとばかり
啼
(
な
)
きすだく虫。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ春は浅い、月は若い、肌寒い
初更
(
しょこう
)
なのである。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
月もおぼろ、道も夜がすみ、
初更
(
しょこう
)
はすぎていた。
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
初更
(
しょこう
)
の星、
燦々
(
さんさん
)
の頃
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“初更”の意味
《名詞》
五更の一番目。戌の刻。
(出典:Wiktionary)
初
常用漢字
小4
部首:⼑
7画
更
常用漢字
中学
部首:⽈
7画
“初”で始まる語句
初
初心
初々
初手
初夏
初春
初陣
初秋
初午
初旬