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几
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つくえ
ふりがな文庫
“
几
(
つくえ
)” の例文
主人は窓の隙からそっと覗いてみると、
几
(
つくえ
)
のそばには二本の大きい蝋燭を立てて、緋の着物の人が几に倚りかかって書物を読んでいた。
中国怪奇小説集:15 池北偶談(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
なるほど
趙生
(
ちょうせい
)
が指さした
几
(
つくえ
)
の上には、
紫金碧甸
(
しこんへきでん
)
の指環が一つ、読みさした本の上に転がっている。指環の主は勿論男ではない。
奇遇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
山は喜んで老人についてゆき、
曳
(
ひ
)
いている
驢
(
ろば
)
を
繋
(
つな
)
いで
室
(
へや
)
の中へ入った。室の中には
几
(
つくえ
)
も腰掛けもなかった。老人はいった。
阿繊
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
そこへ朱が木像をおぶって入ってきて、それを
几
(
つくえ
)
の上に置き、杯を執って三度さした。同窓生はそれを見ているうちに怖くなって体がすくんできた。
陸判
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
華歆はあわてて
几
(
つくえ
)
の下からそっと曹丕の手へ何か書いたものを渡した。曹丕は眼をふと俯せてそれを見ると、たちまち声を高めて次の難題を出した。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
死のある所には、神占の
几
(
つくえ
)
のごとき震えが起こるものである。魂の目がのぞき出てる彼の
眸
(
ひとみ
)
からは、押さえつけた炎のような輝きが発していた。と突然彼は頭をもたげた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
藤葛
(
ふじかずら
)
を
攀
(
よ
)
じ、
渓
(
たに
)
を越えて、ようやく絶頂まで辿りつくと、果たしてそこに一つの草庵があって、道人は
几
(
つくえ
)
に倚り、童子は鶴にたわむれていました。
中国怪奇小説集:14 剪灯新話(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
で、婿さんの家へいってみますと、もう
燈
(
あかり
)
が
点
(
つ
)
いておりました。入ってみますと奥様が燈の下に坐って、
几
(
つくえ
)
によりかかっておやすみになろうとするふうでした。
五通
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
土地の者は魏法師の
詞
(
ことば
)
に従って、
藤葛
(
ふじかずら
)
を
攀
(
よ
)
じ
渓
(
たに
)
を越えて四明山へ往った。四明山の頂上の松の下に小さな
草庵
(
そうあん
)
があって、一人の老人が
几
(
つくえ
)
によっかかって坐っていた。
牡丹灯籠 牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
曹操は、
几
(
つくえ
)
の上にひらいて、十遍あまり読み返していたが、どんと
拳
(
こぶし
)
で
案
(
つくえ
)
を叩きながら
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
窓の中を覗いて見ると、
几
(
つくえ
)
の上の
古銅瓶
(
こどうへい
)
に、
孔雀
(
くじゃく
)
の尾が何本も
挿
(
さ
)
してある。その側にある
筆硯類
(
ひっけんるい
)
は、いずれも
清楚
(
せいそ
)
と云うほかはない。と思うとまた人を待つように、碧玉の
簫
(
しょう
)
などもかかっている。
奇遇
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
かれらを
几
(
つくえ
)
の上に置いて、合図の太鼓を打つと、第一の大きい亀が這い出して来て、まんなかに身を伏せる。次に第二の亀が這い出して、その背に登る。
中国怪奇小説集:13 輟耕録(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして、しばらくして目を開けて見ると
几
(
つくえ
)
の上の物がはっきり見えた。方棟は喜んで細君に話した。
瞳人語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
夫人はそれを見て、ひどく怒って、小翠を呼びつけて口ぎたなく叱った。小翠は
几
(
つくえ
)
に
倚
(
よ
)
っかかりながら帯を
弄
(
いじ
)
って、平気な顔をして懼れもしなければまた何もいわなかった。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
彼の
几
(
つくえ
)
の上には、いまたてた
易占
(
うらない
)
の
算木
(
さんぎ
)
が、吉か凶か、
卦面
(
けめん
)
の
変爻
(
へんこう
)
を示していた。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや、わたしが確かに見た。あなたは夜の更けるまで
几
(
つくえ
)
にむかっていましたよ」と、主人は笑っていた。
中国怪奇小説集:15 池北偶談(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
魚はその晩舟を湖村に繋いで
燭
(
ひ
)
の
側
(
そば
)
に坐っていた。と、鳥のようにひらりと入ってきて
几
(
つくえ
)
の前に立ったものがあった。みると
二十
(
はたち
)
ばかりの麗人であった。にっと笑って
竹青
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
室の内は敷物、
几
(
つくえ
)
、寝台にいたるまで、皆清らかで
沢
(
つや
)
のある物ばかりであった。
嬰寧
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
呉用は、
香炉台
(
こうろだい
)
を借り、
香
(
こう
)
を
薫
(
くん
)
じ、おもむろに
算木
(
さんぎ
)
を
几
(
つくえ
)
にならべ始めた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
土地の者は魏法師の言葉に従うて、
藤葛
(
ふじかずら
)
を
攀
(
よ
)
じ、
渓
(
たに
)
を越えて四明山へ行った。四明山の頂上の松の下に小さな草庵があって、一人の老人が
几
(
つくえ
)
によりかかって坐っていた。
牡丹灯記
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その通りにして待っていると、果たして夜半に家根瓦のあいだで物音がきこえて、やがて何物か
几
(
つくえ
)
の上に
堕
(
お
)
ちて来た。竹筒のなかでもそれに
応
(
こた
)
えるように、がさがさいう音がきこえた。
中国怪奇小説集:11 異聞総録・其他(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして、間もなく足の短い
牀
(
しょうぎ
)
をもって来て下に置き、山をそれに坐らしたが、また入っていって一つの足の短い
几
(
つくえ
)
を持って来た。それはいかにも急がしそうにいったりきたりするのであった。
阿繊
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
と、傍らの
几
(
つくえ
)
にあった
玉硯
(
ぎょっけん
)
をつかんで床に砕いたという。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宮殿の上には一人の醜い形をした王がいて、
几
(
つくえ
)
に
憑
(
よりかか
)
って罪を決めていた。曾は這うようにして前へ出て往った。王は書類に目をやって、わずかに数行見ると、ひどく怒って言った。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
簷
(
のき
)
の下に二組の
几
(
つくえ
)
と腰掛を設けて、その一方の几には一人の秀才が腰をかけていた。そこで宋公もその一方の几にいって秀才と肩を並べて腰をかけた。几の上にはそれぞれ筆と紙とが置いてあった。
考城隍
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
「いや、
几
(
つくえ
)
に
倚
(
よ
)
って、独り書を読んでいたのだが……」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし人が神の怒りにふれるようなことがあると、その家はきっと不思議なことがあって蛙がたくさんきて
几
(
つくえ
)
や
榻
(
ねだい
)
であそんだり、ひどいのになると
滑
(
なめら
)
かな壁を這いあがったが
堕
(
お
)
ちなかった。
青蛙神
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「
几
(
つくえ
)
をそなえ、香を
焚
(
た
)
き、予の文房具を取り揃えよ」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
几
漢検1級
部首:⼏
2画
“几”を含む語句
床几
几帳面
几帳
牀几
几案
几董
床几場
几上
浄几
明窓浄几
几圭
樽床几
香几
平几帳面
袖几帳
陶器床几
御床几
高几董
竹床几
祭几
...