なあに)” の例文
大胆だと思いますか——なあに、そうではない。度胸も信仰も有るのではありません、がすべてこういう場合に処する奥の手が私にある。
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なあに。あいつは二ひきともきびんだからだいじょうぶだよ。」と言っているうちに、馬車は、十四、五けん手前で、ぱたりととまりました。
やどなし犬 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
なあに、銀平さんに文ちゃんだから、酔っぱらってなンか居るもンか。最早もう来る時分だ」仁左衛門さんがなだめる。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
汝達わいどもなあにをしとッか。先日こないだもいっといたじゃなっか。こ、これを見なさい」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「兄さんなあに? その包は?」不思議に思って訊きますと
西班牙の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「かんがえごとつてなあに
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
なあに?」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
はいなあにかはつたことでもござりませぬ、わし嬢様ぢやうさまのことはべつにおたづまをしませんから、貴女あなたなんにもふてはくださりますな。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「姐ちやんなあにあれは?」と、足を投げ出して坐つてお出でになる坊ちやんは、他の事を仰りながら、不審さうに外の方を上目に見て、きよと/\してお出でになる。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
ねんばり一湿ひとしめりでございましょう。地雨じあめにはなりますまい。なあに、また、雨具もござる。芝居を御見物の思召おぼしめしがなくば、まあ御緩ごゆっくりなすって。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なあに、女のはませています、それにあか手絡てがらで、美しい髪なぞ結って、かたちづくっているからい姉さんだ、と幼心おさなごころに思ったのが、二つ違い、一つ上、亡くなったのが二つ上で
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なあに山河内やまこうち様のお姫様ひいさまで、同じお弟子なんでありますから構いません、いらっしゃい。)といい棄てて、この暑いに袴を穿かせるほどな家風、一体婦人を対手あいての業体、歌所はしつけのいいもので
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なあに、正体を見れば、閑古鳥にしろ、じきそこいらの樹の枝か葉隠れに、翼を掻込かいこんだのが、けろりとした目で、ひまかして、退屈まぎれに独言ひとりごとを言っているのであろうけれども、心あって聞く者が
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もくさん、これ、なあに?……」
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なあに、」とふすまに手を掛ける。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「……なあに、」
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「……なあに、」
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)