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じんせき
ふりがな文庫
“
人跡
(
じんせき
)” の例文
それから、ロビンソン、クルーソーみたように難船に
逢
(
あ
)
って一人ッきり、
人跡
(
じんせき
)
の絶えた島に泳ぎ着くなんかも随分面白かろうと考えるんです。
忘れ形見
(新字新仮名)
/
若松賤子
(著)
臨湍寺
(
りんたんじ
)
の僧
智通
(
ちつう
)
は常に
法華経
(
ほけきょう
)
をたずさえていた。彼は
人跡
(
じんせき
)
稀
(
ま
)
れなる寒林に小院をかまえて、一心に経文
読誦
(
どくじゅ
)
を怠らなかった。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
僕は我国を
覘
(
ねら
)
っている敵国人が、我国の
人跡
(
じんせき
)
稀
(
まれ
)
なる山中に立て
籠
(
こも
)
っていると聞いてさえ驚かされたのに、彼等はどこから運搬したものか大仕掛の
土木工事
(
どぼくこうじ
)
を行い
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人跡
(
じんせき
)
絶えた山中の温泉に、
唯
(
ただ
)
一人雪の
膚
(
はだえ
)
を泳がせて、
丈
(
たけ
)
に余る黒髪を絞るとかの、それに
肖
(
に
)
まして。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
元より
人跡
(
じんせき
)
の絶えた山ですから、あたりはしんと静まり返って、やっと耳にはいるものは、
後
(
うしろ
)
の絶壁に
生
(
は
)
えている、曲りくねった一株の松が、こうこうと夜風に鳴る音だけです。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
昔から
人跡
(
じんせき
)
の到らない処であるから、仙道修行にはまたと無い処じゃ、わしはもと大和の国の神官で、
山中
(
やまなか
)
と云う者であったが、わしが人間界におった時は、
足利義満
(
あしかがよしみつ
)
や
義持
(
よしもち
)
が将軍になって
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
白木屋
(
しろきや
)
百貨店の横手に降りると、燈火の明るさと年の暮の
雑沓
(
ざっとう
)
と、ラディオの軍歌とが一団になって、今日の半日も夜になるまで、
人跡
(
じんせき
)
の絶えた
枯蘆
(
かれあし
)
の岸ばかりさまよっていたわたくしの眼には
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
人跡
(
じんせき
)
の容易に到らない
道志谷
(
どうしだに
)
を上って行くと、丹沢から焼山を経て赤石連山になって、その裏に鳥も通わぬ
白根
(
しらね
)
の峰つづきが見える。富士の現われるのは、その赤石連山と焼山岳の間であります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
路はもとより
人跡
(
じんせき
)
絶えているところを
大概
(
おおよそ
)
の「
勘
(
かん
)
」で歩くのであるから、
忍耐
(
がまん
)
に
忍耐
(
がまん
)
しきれなくなって
怖
(
こわ
)
くもなって来れば悲しくもなって来る、とうとう眼を
凹
(
くぼ
)
ませて死にそうになって家へ帰って
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
たどり
過
(
すぎ
)
人の心に
尖
(
とげ
)
ぞ有る
殼枳寺
(
からたちでら
)
や
切道
(
きりどほ
)
し切るゝ身とは知らずとも
頓
(
やが
)
て命は仲町と三次は
四邊
(
あたり
)
見廻すに
忍
(
しの
)
ばずと云ふ名は有りと
池
(
いけ
)
の
端
(
はた
)
こそ
窟竟
(
くつきやう
)
の所と思へどまだ夜も
淺
(
あさ
)
ければ人の
往來
(
ゆきき
)
も
絶
(
たえ
)
ざる故山下通り打過て
漸々
(
やう/\
)
思ひ金杉と心の
坂本
(
さかもと
)
通
(
どほ
)
り
越
(
こし
)
大恩寺
(
だいおんじ
)
前
(
まへ
)
へ曲り込ば此處は名に
負
(
おふ
)
中田圃
(
なかたんぼ
)
右も左りも
畔道
(
あぜみち
)
にて
人跡
(
じんせき
)
さへも
途絶
(
とだえ
)
たる向ふは
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
かれら自身の説明によると、その祖先が
秦
(
しん
)
の暴政を避くるがために、妻子
眷族
(
けんぞく
)
をたずさえ、村人を伴って、この
人跡
(
じんせき
)
絶えたるところへ隠れ住むことになったのである。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
醤は、このからからんという音を聞くたびに、
寒山寺
(
かんざんじ
)
のさわやかなる秋の夕暮を想い出すそうである。——なにしろ、ここは、
人跡
(
じんせき
)
まれなる
濠洲
(
ごうしゅう
)
の砂漠の
真只中
(
まっただなか
)
である。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
然れども久米は
勝誇
(
かちほこ
)
りたる為、忽ち心臓に異状を呈し、
本郷
(
ほんがう
)
まで歩きて帰ること
能
(
あたは
)
ず。僕は矢代と共に久米を
担
(
かつ
)
ぎ、
人跡
(
じんせき
)
絶えたる電車通りをやつと本郷の
下宿
(
げしゆく
)
へ帰れり。(昭和二・二・一七)
その頃の赤門生活
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
むこうの山の頂きに何かの建物があるのを見つけて、ともかくもそこまで
辿
(
たど
)
り着くと、そこらは
人跡
(
じんせき
)
の絶えたところで、いつの代に建てたか判らないような、
頽
(
くず
)
れかかった
一宇
(
いちう
)
の古い廟がありました。
中国怪奇小説集:14 剪灯新話(明)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
この
人跡
(
じんせき
)
まれな山中に、火星の宇宙ボートが着いている。
火星兵団
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
人
常用漢字
小1
部首:⼈
2画
跡
常用漢字
中学
部首:⾜
13画
“人跡”で始まる語句
人跡稀
人跡未踏