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不穏
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ふおん
ふりがな文庫
“
不穏
(
ふおん
)” の例文
旧字:
不穩
で——飢え死にするよりは、と何度も苦い経験のある一揆を、又ぞろ、繰返すらしい
不穏
(
ふおん
)
さが、何十ヵ村の同じ痩せ村にうずいていた。
脚
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いや、大石殿ばかりではない、旧浅野家の浪人どもおいおい江戸に参着して、何やら
不穏
(
ふおん
)
なことを
企
(
たくら
)
んでいるという風説もある。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
だが
朝来
(
ちょうらい
)
の天候は
不穏
(
ふおん
)
をつげ、黒雲が矢のようにとび、
旋風
(
せんぷう
)
が林をたわめてものすごいうなりを伝える。と見るまに
大粒
(
おおつぶ
)
の雨が落ちてきた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
まず駈けつけた地下鉄の中で、彼は、避難群衆に、
不穏
(
ふおん
)
の気が、みなぎっていることを、
逸早
(
いちはや
)
く見てとったのだった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一
同
(
どう
)
が
今日
(
きょう
)
の
良
(
よ
)
き
船出
(
ふなで
)
を
寿
(
ことほ
)
ぎ
合
(
あ
)
ったのもほんの
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
、やや一
里
(
り
)
ばかりも
陸
(
おか
)
を
離
(
はな
)
れたと
覚
(
おぼ
)
しき
頃
(
ころ
)
から、
天候
(
てんこう
)
が
俄
(
にわ
)
かに
不穏
(
ふおん
)
の
模様
(
もよう
)
に
変
(
かわ
)
って
了
(
しま
)
いました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
▼ もっと見る
かくばかり
不穏
(
ふおん
)
なる精神も、実に如何なる
厳粛
(
げんしゅく
)
、
敬虔
(
けいけん
)
、
幽静
(
ゆうせい
)
、崇高なる道念を発せしめたるか。
吾人
(
ごじん
)
はその父兄に与うる書についてこれを知るを得るなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
平田氏の神経過敏と不眠症は容易に
恢復
(
かいふく
)
しなかったけれど、心配した様な怨霊の祟らしいものもなく、又辻堂の息子の方にも何等
不穏
(
ふおん
)
の形勢は見えなかった。
幽霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ひどく
不穏
(
ふおん
)
な形勢で、いまに、帝都に戒厳令が施行せられるだろうとか何とか、そんな
噂
(
うわさ
)
さえありました。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
続いて、「気違い、気違い」と云う私語・
囁
(
ささや
)
き声が幻聴の如く、文麻呂の
不穏
(
ふおん
)
な頭を乱し始める。……
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
事実に
掩
(
おお
)
うべからざるところのものなればなり。
故
(
ゆえ
)
に
本文
(
ほんもん
)
敵国の語、
或
(
あるい
)
は
不穏
(
ふおん
)
なりとて説を
作
(
な
)
すものもあらんなれども、当時の実際より立論すれば敵の字を用いざるべからず
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
唯哲人ヘーゲルなるものありて、講壇の上に、無上普遍の真を伝ふると聞いて、向上
求道
(
ぐどう
)
の念に切なるがため、
壇下
(
だんか
)
に、わが
不穏
(
ふおん
)
底の疑義を解釈せんと欲したる清浄心の発現に
外
(
ほか
)
ならず。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
此国には昔から一種
熬々
(
いらいら
)
した
不穏
(
ふおん
)
の気が
漂
(
ただよ
)
うて居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
異状の
天色
(
てんしょく
)
はますます
不穏
(
ふおん
)
の
徴
(
ちょう
)
を表せり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「いやしくも
卿
(
けい
)
らは、戦いの後ろにあって、国内の安定と民心の戦意を励ます重要な職にありながら、何で先に立って、
不穏
(
ふおん
)
な
流説
(
るせつ
)
を行い、朝野の人心を惑わしめたか」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
弦三は、雷門の地下道に
蟠
(
わだかま
)
る
不穏
(
ふおん
)
な群衆のことを、この須田町の秩序正しい青年団に対比して、悪夢を見たように感じたのだった。しかし、それは果して夢であったろうか。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
いわゆる「死
已
(
すで
)
に名無く生また
懶
(
ものう
)
し、英雄恨み有り蒼天に訴う」の如き、また以て彼が
懊悩
(
おうのう
)
の情を察するに足らん。看よ、生また
懶
(
ものう
)
しの三字、如何に多量の
不穏
(
ふおん
)
なる精神を含むか。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
……
不穏
(
ふおん
)
な風の渡る音。
山鴿
(
やまばと
)
の鳴く声さえも、途絶え勝ちだ。空模様もだんだんあやしくなって来る。
燦然
(
さんぜん
)
と
瞬
(
またた
)
いていた星々も、あっちにひとつこっちにひとつとだんだん消え失せて行く………
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
然
(
しか
)
りといえども彼はこれら資格の外に、なお特別の本色を有す、曰く、
不穏
(
ふおん
)
の精神これなり。パスカルいえるあり、「もし人安んじて一室に静坐するを得ば、
世上
(
せじょう
)
禍害の大部は
出
(
い
)
で
来
(
きた
)
らざるべし」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
去年
(
こぞ
)
の暮、南都の大衆に、
不穏
(
ふおん
)
のきざしありとかで、清盛入道は、
重衡朝臣
(
しげひらあそん
)
をして三万余騎をさしむけ、またたくまに奈良の東大寺、興福寺をはじめ、
伽藍
(
がらん
)
堂塔
(
どうとう
)
を焼きはらい、大乗小乗の聖教やら
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“不穏”の解説
不穏
(出典:Wikipedia)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
穏
常用漢字
中学
部首:⽲
16画
“不穏”で始まる語句
不穏当
不穏底
不穏指令