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麻縄
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あさなわ
ふりがな文庫
“
麻縄
(
あさなわ
)” の例文
旧字:
麻繩
彼の身体をグルグルと
麻縄
(
あさなわ
)
で縛りあげると、ゴロリと床の上に転がした。そのまま幾日も
抛
(
ほう
)
って置いた。無論一滴の水も与えはしなかった。
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
別天地の
小生涯
(
しょうせいがい
)
、
川辺
(
かわべ
)
に
風呂
(
ふろ
)
、
炊事場
(
すいじば
)
を設け、林の蔭に便所をしつらい、
麻縄
(
あさなわ
)
を張って洗濯物を
乾
(
ほ
)
し、少しの
空地
(
あきち
)
には
青菜
(
あおな
)
まで出来て居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
水銀の
剥
(
は
)
げちらした鏡一つと、壊れた脚を
麻縄
(
あさなわ
)
でくるくると
捲
(
ま
)
いた木の
椅子
(
いす
)
が一つあるっきりの
身窄
(
みすぼ
)
らしい理髪屋であった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
医者は少し呼吸器を
冒
(
おか
)
されているようだからと云って、切に転地を勧めた。安井は心ならず押入の中の
柳行李
(
やなぎごうり
)
に
麻縄
(
あさなわ
)
を掛けた。御米は
手提鞄
(
てさげかばん
)
に
錠
(
じょう
)
をおろした。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
やがて太き
麻縄
(
あさなわ
)
もて、
犇々
(
ひしひし
)
と
縛
(
いまし
)
められぬ。その
間
(
ひま
)
に彼の聴水は、危き命助かりて、
行衛
(
ゆくえ
)
も知らずなりけるに。黄金丸は、無念に堪へかね、
切歯
(
はぎしり
)
して
吠
(
ほ
)
え立つれば。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
▼ もっと見る
岩壁
(
がんぺき
)
の一たんに、ふとい
鉄環
(
てっかん
)
が打ちこんであり、
環
(
かん
)
に一本の
麻縄
(
あさなわ
)
か
結
(
むす
)
びつけてあった。で、その
縄
(
なわ
)
の
端
(
はし
)
をながめやると、大きな
丸太筏
(
まるたいかだ
)
が三そう、
水勢
(
すいせい
)
にもてあそばれてうかんでいる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ほんの五六尺の
麻縄
(
あさなわ
)
ですが
強靱
(
きょうじん
)
で
逞
(
たくま
)
しくて、これは全く物凄いものです。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この通りはからっ風が強いのか、ぼろ隠しのような布の下には
重石
(
おもし
)
がつけてある。石は囚人を縛るような
麻縄
(
あさなわ
)
でからげてある。
豚
(
ぶた
)
の
腹綿
(
はらわた
)
を焼いている煙が、もくもくと布の間から立ちのぼっている。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「此者ハ不忠ナル偽病者ニツキ、
麻縄
(
あさなわ
)
ヲ解クコトヲ禁ズ」
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
トラ十は二人の手をうしろにまわさせて、
麻縄
(
あさなわ
)
でしばった。それから、走れないように、足首のところも結んでしまった。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分にはこの
朦朧
(
もうろう
)
たるものを払い
退
(
の
)
けるのが、太い
麻縄
(
あさなわ
)
を
噛
(
か
)
み切るよりも苦しかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
麻縄
(
あさなわ
)
一すじ、輪にして持ち、腰には
燧打道具
(
ひうちどうぐ
)
、父譲りの伝来の刀、身軽に
装
(
よそお
)
って
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
入口に遠い方にいる人物は
紛
(
まぎ
)
れもなく覆面探偵の青竜王だったが、彼は椅子に腰をかけた
儘
(
まま
)
、身体を椅子ごと太い
麻縄
(
あさなわ
)
でグルグルに締められていた。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と思うと手下の兵に、大きな竹籠や
麻縄
(
あさなわ
)
をかつがせて再び林の奥へやって来た。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現場には
同人
(
どうにん
)
のものらしき和服と二重まわしが脱ぎ捨てられてあったが、その外に何のため使用したか長い
麻縄
(
あさなわ
)
が
遺棄
(
いき
)
されてあった。其の他に持ちものはない。
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
武蔵の姿を別当の観音院の前まで
尾行
(
つけ
)
てきた男の手にも、一匹の犬が
麻縄
(
あさなわ
)
で曳かれている。今、男が闇へ手招きすると、
犢
(
こうし
)
のような黒犬も共に、闇の方を見てくんくんと鼻を鳴らし始めた。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鼻緒の
下請負
(
したうけおい
)
は、同じ区内の
今戸
(
いまど
)
とか
橋場
(
はしば
)
あたりの
隣町
(
となりまち
)
の、
夥
(
おびただ
)
しい家庭工場で、
芯
(
しん
)
を固めたり、
麻縄
(
あさなわ
)
を通したり、その上から色彩さまざまの
鞘
(
さや
)
になった鼻緒を
被
(
かぶ
)
せたり、それが出来ると
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
たちまち追いつかれて、五体は
麻縄
(
あさなわ
)
の
縞目
(
しまめ
)
にされてしまった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
麻
常用漢字
中学
部首:⿇
11画
縄
常用漢字
小4
部首:⽷
15画
“麻”で始まる語句
麻痺
麻布
麻
麻雀
麻疹
麻裃
麻裏
麻上下
麻糸
麻酔