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鬼門
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きもん
ふりがな文庫
“
鬼門
(
きもん
)” の例文
災厄をも親しく遇した。不運ともよく馴染み、その
綽名
(
あだな
)
を呼びかけるほどになっていた。「
鬼門
(
きもん
)
さん、今日は、」と彼はいつも言った。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「江戸の喉首、吉原への通ひ路、山谷堀へ
緒牙
(
ちよき
)
船で入らうといふ左手に鎭座まします、江戸城から見るとこれが
鬼門
(
きもん
)
に當る」
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たいていは馬の
肢
(
あし
)
が折れるかと思うくらい、重い荷を積んでいるのだが、傾斜があるゆえ、馬にはこの橋が
鬼門
(
きもん
)
なのだ。
馬地獄
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
わが国は全国東西を通じて、
鬼門
(
きもん
)
、
金神
(
こんじん
)
を恐るることが最もはなはだしい。なかんずく、鬼門は大禁物としてある。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
両国広小路は米友にとって
鬼門
(
きもん
)
であるけれど、今はその危険を冒しても米友はそこへ行かねばならなくなりました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「なに、蠅が入ってくる。ブルブルブル。蠅は
鬼門
(
きもん
)
や。なんでもええ、あの空気孔に下から
蓋
(
ふた
)
をはめてくれ」
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
たまには
伺候
(
しこう
)
することもあったが、帰りにいつもの
局
(
つぼね
)
へは間違っても足を向けず、そっちは
鬼門
(
きもん
)
だと、自分で自分に云い聞かして、すうっと出て来るようにしていた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と野崎君や赤羽君が
諢
(
からか
)
ったものだ。その徳を慕って来たジョンソン博士が今は
鬼門
(
きもん
)
になった。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「北条も平家。ゆらい平家にとって、川は
鬼門
(
きもん
)
なのでございましょう。富士川の水鳥以来」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鬼門
(
きもん
)
へ
触
(
さわ
)
るように
恐
(
おそ
)
れていた
座敷
(
ざしき
)
だったが、
留守
(
るす
)
に
誰
(
だれ
)
かが
這入
(
はい
)
ったと
聞
(
き
)
いては、
流石
(
さすが
)
にあわてずにいられなかったらしく、
拵
(
こし
)
らえかけの
蜆汁
(
しじみじる
)
を、七
厘
(
りん
)
へ
懸
(
か
)
けッ
放
(
ぱな
)
しにしたまま
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
するとマタ・アリも、ランドルフと一緒にパリーへ行かなければならないことになったが、第二号に捕まってあんな目に
遭
(
あ
)
ったばかりだから、パリーはマタ・アリの
鬼門
(
きもん
)
である。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
なに坊主が
小遣
(
こづかい
)
取
(
と
)
りに
占
(
うらな
)
いをやるんだがね。その坊主がまた余計な事ばかり言うもんだから始末に行かないのさ。現に僕が
家
(
うち
)
を持つ時なども
鬼門
(
きもん
)
だとか
八方
(
はっぽう
)
塞
(
ふさが
)
りだとか云って
大
(
おおい
)
に弱らしたもんだ
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
袈裟
(
けさ
)
、僧帽、
鞋
(
くつ
)
、
剃刀
(
かみそり
)
、一々
倶
(
とも
)
に備わりて、銀十
錠
(
じょう
)
添わり
居
(
い
)
ぬ。
篋
(
かたみ
)
の内に朱書あり、
之
(
これ
)
を読むに、応文は
鬼門
(
きもん
)
より
出
(
い
)
で、
余
(
よ
)
は
水関
(
すいかん
)
御溝
(
ぎょこう
)
よりして行き、薄暮にして
神楽観
(
しんがくかん
)
の
西房
(
せいぼう
)
に会せよ、とあり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
便所は
鬼門
(
きもん
)
を避け、腹帯は
戌
(
いぬ
)
の日に結ぶというごときことは、これだけを考えれば、別に他人に迷惑をかけるわけでもないから、めいめいの勝手のようではあるがかようなことを是認すれば、やがて
改善は頭から
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
たちまち、このうわさが
世間
(
せけん
)
に
伝
(
つた
)
わると、もはや、だれも、この
山
(
やま
)
の
上
(
うえ
)
のお
宮
(
みや
)
に
参詣
(
さんけい
)
するものがなくなりました。こうして、
昔
(
むかし
)
、あらたかであった
神
(
かみ
)
さまは、いまは、
町
(
まち
)
の
鬼門
(
きもん
)
となってしまいました。
赤いろうそくと人魚
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「いやに
鬼門
(
きもん
)
の方ばかり氣にしますね——、實は四谷伊賀町に不思議な殺しがあつたさうで、
辨慶
(
べんけい
)
の小助親分が、錢形の親分を連れて來るやうにと、使ひの者をよこしましたよ」
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「冗談じゃねえ」と、李逵は自分の
鬼門
(
きもん
)
のように尻込みした。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いやに
鬼門
(
きもん
)
の方ばかり気にしますね——、実は
四谷伊賀町
(
よつやいがまち
)
に不思議な殺しがあったそうで、
弁慶
(
べんけい
)
の小助親分が、銭形の親分を連れて来るようにと、使いの者をよこしましたよ」
銭形平次捕物控:211 遠眼鏡の殿様
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
鬼門
(
きもん
)
ですよ。梁山泊ときては」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「飛んでもない。離室は
鬼門
(
きもん
)
のやうなもので」
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
武芸者
(
ぶげいしゃ
)
鬼門
(
きもん
)
の
荒道場
(
あらどうじょう
)
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鬼門
(
きもん
)
にして、寄りつく氣遣ひはあるまい
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“鬼門”の意味
《名詞》
鬼門(きもん)
陰陽道で鬼が出入りするされる方角。丑寅。北東。
本人にとってにがてとする事柄や人、場所。
(出典:Wiktionary)
“鬼門”の解説
鬼門(きもん)とは、北東(艮=うしとら:丑と寅の間)の方位・方角のこと。日本では古来より鬼の出入り方角であるとして忌むべき方角とされる。
(出典:Wikipedia)
鬼
常用漢字
中学
部首:⿁
10画
門
常用漢字
小2
部首:⾨
8画
“鬼門”で始まる語句
鬼門關
鬼門道