びんづら)” の例文
雪洞ぼんぼりえた拍子ひやうしに、晃乎きらり唯吉たゞきちとまつたのは、びんづらけてくさちた金簪きんかんざしで……しめやかなつゆなかに、くばかり、かすかほたるかげのこしたが、ぼう/\と吹亂ふきみだれる可厭いやかぜ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
小走りに急いで来る、青葉の中に寄る浪のはらはらと爪尖つまさき白く、濃い黒髪のふさやかな双のびんづら浅葱あさぎひもに結び果てず、海水帽を絞ってかぶった、ゆたかほおつややかになびいて、色の白いが薄化粧。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ふといたまど横向よこむきにつて、ほつれ白々しろ/″\としたゆびくと、あのはなつよかをつた、とおもふとみどり黒髮くろかみに、おなしろはな小枝こえだきたるうてな湧立わきたしべゆるがして、びんづらしてたのである。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)