風呂敷包ふろしきづゝみ)” の例文
おつぎはそれから村内そんない近所きんじよむすめともかよつた。おつぎは與吉よきちちひさな單衣ひとへもの仕上しあげたとき風呂敷包ふろしきづゝみかゝへていそ/\とかへつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
その門口には私くらゐの年頃の少年が沢山来てゐて、二列に並んでゐた。てんでに汚れた風呂敷包ふろしきづゝみの弁当を腰にぶら提げたり、肩から斜めにひもで提げたりしてゐた。
ある職工の手記 (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
とうさんはちひさなかばん風呂敷包ふろしきづゝみにしまして、それを自分じぶん背中せなかしよつてましたから
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
また万金丹まんきんたん下廻したまはりには、御存ごぞんじのとほり、千筋せんすぢ単衣ひとへ小倉こくらおび当節たうせつ時計とけいはさんでます、脚絆きやはん股引もゝひきこれ勿論もちろん草鞋わらぢがけ、千草木綿ちくさもめん風呂敷包ふろしきづゝみかどばつたのをくびゆはへて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勘次かんじはちらとくりみきうしろにしたまゝ俯向うつむいてしまつた。おつたはさら介意かいいないやうな態度たいどでずつと戸口とぐちつて、なゝめかたけた風呂敷包ふろしきづゝみをおろした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おつぎはとき吹消ふつけしたブリキのランプをけて、まだ容子ようすがはき/\としなかつた。勘次かんじ先刻さつき風呂敷包ふろしきづゝみいた。ちひさくたゝんだ辨慶縞べんけいじま單衣ひとへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)