青竹あおだけ)” の例文
おんなは、青竹あおだけのつえをついて、やまのぼりはじめました。やがて、とうげたっしますと、そこに三にんおとこってっていました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでも兄神あにがみはやはり約束やくそくたそうとしませんでした。すると女神めがみ出石川いずしがわの中のしまえていた青竹あおだけってて、目のあらいかごをこしらえました。
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「里見さん」と呼んだ時に、美禰子は青竹あおだけ手欄てすりに手を突いて、心持ち首をもどして、三四郎を見た。なんとも言わない。手欄のなかは養老の滝である。
三四郎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
都田川みやこだがわ右岸うがんには、青竹あおだけをくんだ矢来やらいの先が、はりの山のように見えている。そのまわりに、うわさを聞きつたえてあつまった群集が、ヒシヒシとしていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
午前十時と云う触込ふれこみなので、十一時に寺本さんの家に往って見ると、納屋なやと上塗せぬ土蔵どぞうの間の大きな柿の木の蔭に村のしゅうがまだ五六人、紙旗を青竹あおだけいつけて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
やまゆきがくるようになると、ひよどりがうらたかいかしのくのであります。正雄まさおは、縁側えんがわにすわって、ってきた青竹あおだけちいさなあなをあけていました。
へちまの水 (新字新仮名) / 小川未明(著)
此洋服を着て甲州街道で新に買った肥桶を青竹あおだけで担いで帰って来ると、八幡様に寄合をして居た村のしゅうがドッと笑った。引越後ひっこしごもなく雪の日に老年の叔母が東京から尋ねて来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
子供こどもが、青竹あおだけって、つくった管笛くだぶえくように、ピイ、ピイ、とりがなくので、ひろい、となり庭先にわさき見下みおろすと、ひよどりが、青木あおきえだにきてあかあらそっているのでした。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
玉石たまいしあたまから、すべりちた青竹あおだけを、くちをゆがめながらもとへなおして、おじいさんは、目垣めがきまえっていました。いたずらがきて、こうとするのだとおもったのです。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)