見極みきは)” の例文
けようと思ふ代りに、私は却つて思ひ切つて——それを見極みきはめたいと願ふのであつた。そしてイングラム孃は幸福な人だと思つた。
白眼にらまへ越前只今の申條過言くわごんなり昨日重役ども並に諸役人一同相調あひしらべし御身分將軍の御落胤に相違なしと見極みきは上聞じやうぶんにもたつしたる儀を其方一人是を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
俄商人にはかあきんどはカンテラの光明くわうみやう木陰こかげうすやみとのあひだつた姿すがた明瞭はつきり見極みきはがたいので、しきりにしかめつゝもとめられるまゝむしろはしつて西瓜すゐくわしてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
店先から入つて子分共の關所を通つた客でなければ會ふ筈もなく、どんな親しい人と見極みきはめが付いても、嚴重な雨戸の締りを外して、庭から寢室へ直接客を通すなどといふことは
左の脇腹に三寸余り切先きつさき這入はひつたので、所詮しよせん助からぬと見極みきはめて、平八郎が介錯かいしやくした。渡辺は色の白い、少し歯の出た、温順篤実な男で、年齢はわづかに四十を越したばかりであつた。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
貫一はその相貌そうぼう瞥見べつけんりて、ただちに彼の性質をうらなはんとこころむるまでに、いと善く見極みきはめたり。されども、いかにせん、彼の相するところは始に疑ひしところとすこぶる一致せざる者有り。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
みなみ女房にようばう仕事しごと見極みきはめがついたのでおつぎをれて、そのばん惣菜そうざい用意よういをするために一あしさきからかへつた。女房にようばういそがしいおもひをしながらむぎつて香煎かうせんふるつていた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)