行届ゆきとゞ)” の例文
旧字:行屆
お雪の看病は真の看病で、手当の行届ゆきとゞきますこと一通りでありません。一体看病というものは婦人に限りますな、どうも男ではいけません。
嬢様ぢやうさまかへるにいへなくたゞ一人ひとりとなつて小児こどもと一しよやまとゞまつたのは御坊ごばうらるゝとほりまた白痴ばかにつきそつて行届ゆきとゞいた世話せわらるゝとほり洪水こうずゐときから十三ねん
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いくら来ても振って/\振り抜きますが、お客は来て来て来抜き、紋日もんびの仕舞い何やかやまで行届ゆきとゞかし、少しも厭らしい事を云わずに帰ります。
なに行届ゆきとゞきませんでも、こればかりは、御地おんちたいする礼儀れいぎ真情まごゝろでございます。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
っかさまが長い間お眼が悪く、貴方あなたも御苦労をなさいますと承わりましたから、おしになるようにと思いますが、思うようにも行届ゆきとゞきませんが
種々さま/″\に意見を加えましたが、一方かた/\が頑固な老爺じいさんで肯きませんから、そんならば暇をやろうと万事行届ゆきとゞいた茂木佐平治さんだから多分の手当をてくれ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
独身者ひとりものゆえ看病人も有りませんが、近所の人が来ては看病をしてくれますが、万事行届ゆきとゞかん勝でございます、なれども田舎気質かたぎのものは親切でございますゆえ
其方そちのような行届ゆきとゞきません者を置いて下さるのみならず、お目を掛けて下さいまして、誠に有難いことで、種々いろ/\戴き物をしたから宜しく申上げてくれと申しました
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
雨は降って来る、誠に難渋いたすによって一泊願いたいと云うと、何事も行届ゆきとゞきません、召上る物も何もございませんし、着せておかし申す物もございません
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かねて二番まちの会所小川様から探索が行届ゆきとゞき、十分手が廻ってるから突然だしぬけに手が入りました。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
しかとお請合うけあいは出来ませぬが、まア此辺こゝらは天領でござんしてな、存外御政治も行届ゆきとゞいて居りやすから、そんな事アありそうもござんせぬ、なんなら舟人ふなびとを頼んで上げましょうかね
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大藏は物事が行届ゆきとゞき、優しくって言葉の内に愛敬があって、家来の麁相そそうなどは知ってもとがめませんから、家来になった者は誠に幸いで、屋敷中の評判が段々高くなって来ました。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何うかしてだまおおせて遁れようと言いくるめて居りますうちに、度々たび/\参ると、彼方むこうでも親切に致しますも惚れて居りますから、何事もお梅の云う通りに行届ゆきとゞき、亭主は窮して居りますから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
随分金がかゝるから大抵の家では女にまでは行届ゆきとゞきません、それに女という奴は嫁入りという大物入がありますからなア、物入と云やア娘も其の内何処かへ嫁に遣らなければなりませんが
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
内儀「あい、鳶頭大きに色々お骨折ほねおりで、何ももお前のお蔭で行届ゆきとゞきました」
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
幸「ウン此処のうちは宜く手当が行届ゆきとゞくねえ」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)