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藻抜
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もぬ
ふりがな文庫
“
藻抜
(
もぬ
)” の例文
旧字:
藻拔
結局二人
藻抜
(
もぬ
)
けの
殻
(
から
)
みたいにさして、この世の中に何の望みも興味も持たんと、ただ光子さんいう太陽の光だけで生きてるように
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
自
(
みずか
)
ら案内して戸を明けた家は、今は
藻抜
(
もぬ
)
けの
空
(
から
)
となって、金吾もお粂の姿も見えず、薬の香ばかりが壁に残る一番奥の四畳半。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして棺の蓋を開いてみると、中は
藻抜
(
もぬ
)
けの
殻
(
から
)
で、あの轢死婦人の屍体が無くなっているッて! ウン、そりゃ本当か。……君、気は確かだろうネ。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
唐紙を押し倒すように飛込んで行くと、お糸の床は
藻抜
(
もぬ
)
けの
殻
(
から
)
で、その側に女中のお千代が、あまりの事に尻餅をついたなり、ろくに口もきけません。
銭形平次捕物控:002 振袖源太
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その横に敷いてあるオモヨさんの寝床は
藻抜
(
もぬ
)
けの殻で、夜具が裾の方に畳み寄せてありまして、
緋
(
ひ
)
ぐくしの高枕が床のまん中に置いてある切りで御座います。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
東雲
(
しののめ
)
の光が雪の障子にぽうっと白く
映
(
さ
)
して、大窓の夜は明けた。有明の月が山の端から青白い顔をして覗いている、私の体を
藻抜
(
もぬ
)
け出た魂のかけらではないかと思った。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
やア、どうも済みませんでした……で、
車庫
(
ギャレージ
)
のほうはどうでした? やっぱり
車庫
(
ギャレージ
)
は
藻抜
(
もぬ
)
けの
空
(
から
)
、それで……それで……なに、なんだって? お客さまが殺されている⁉……
白妖
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
藻抜
(
もぬ
)
けのように立っていた、
私
(
わし
)
が
魂
(
たましい
)
は身に戻った、そなたを拝むと
斉
(
ひと
)
しく、
杖
(
つえ
)
をかい込み、
小笠
(
おがさ
)
を傾け、
踵
(
くびす
)
を返すと
慌
(
あわただ
)
しく一散に
駈
(
か
)
け下りたが、里に着いた時分に山は
驟雨
(
ゆうだち
)
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、私は急に魂を奪われた人間のように、
藻抜
(
もぬ
)
けの殻の肉体だけが、舞台の上で
操
(
あやつり
)
人形のように、周囲の人達の動くのに連れられて、ボンヤリ動いていたのに過ぎませんでした。
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
天幕に入って、ふとクラパの寝床をのぞいて見ると、中は
藻抜
(
もぬ
)
けのからだった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
預かり中の病人が、寝床を
藻抜
(
もぬ
)
けの
空
(
から
)
にして、紛失したとあっては、これは責任上、かなり驚いていい事件である。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は、
藻抜
(
もぬ
)
けの
殻
(
から
)
の寝台の上に身を投げかけると、あたり
憚
(
ははか
)
らずオンオン泣き出した。その奇妙な泣き声に
駭
(
おどろ
)
いて、婦長が駆けつけてくる。
朋輩
(
ほうばい
)
が寄ってくる。
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
元の心は
藻抜
(
もぬ
)
けの殻だよ。人の形をしているだけに。犬や猫より始末が悪いよ。情ないとも何とも
彼
(
か
)
とも。なろう事なら代ろうものをと。歎き
悶
(
もだ
)
えた
揚句
(
あげく
)
の果てが。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
藻抜
(
もぬ
)
けのやうに
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
た、
私
(
わし
)
が
魂
(
たましひ
)
は
身
(
み
)
に
戻
(
もど
)
つた、
其方
(
そなた
)
を
拝
(
をが
)
むと
斉
(
ひと
)
しく、
杖
(
つえ
)
をかい
込
(
こ
)
み、
小笠
(
をがさ
)
を
傾
(
かたむ
)
け、
踵
(
くびす
)
を
返
(
かへ
)
すと
慌
(
あはたゞ
)
しく、一
散
(
さん
)
に
駆
(
か
)
け
下
(
お
)
りたが、
里
(
さと
)
に
着
(
つ
)
いた
時分
(
じぶん
)
は
山
(
やま
)
は
驟雨
(
ゆふだち
)
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
老禰宜もむすめも、その子どもも、どこへ行ったか、寝部屋は
藻抜
(
もぬ
)
けの殻になっている。彼女はちょっと
茫然
(
ぼうぜん
)
としたが、またかえって安心もした容子だった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蒲団
(
ふとん
)
は
藻抜
(
もぬ
)
けの
空
(
から
)
になっているし、台所の戸口が一パイに開け放されて月あかりが
映
(
さ
)
しているので、どこに行ったのか知らんと家の
内外
(
うちそと
)
を見まわったが、出て行ったあとで又、雪が降ったらしく
復讐
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と——そこが、
藻抜
(
もぬ
)
けの
殻
(
から
)
なので
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もちろん、
藻抜
(
もぬ
)
けの
殻
(
から
)
。彼は
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藻
常用漢字
中学
部首:⾋
19画
抜
常用漢字
中学
部首:⼿
7画
“藻”で始まる語句
藻掻
藻
藻屑
藻草
藻脱
藻塩草
藻蝦
藻魚
藻絵
藻汐