藁屑わらくづ)” の例文
卯平うへい勘次かんじとのあひだ豫期よきしてごとひやゝがではあつたが、丁度ちやうど落付おちつかない藁屑わらくづあしいてはにはとり到頭たうとうつくるやうに
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
玄関前に、此間このあひだ引越のときにほどいた菰包こもづゝみ藁屑わらくづがまだこぼれてゐた。座敷ざしきとほると、平岡は机のまへすはつて、なが手紙てがみけてゐる所であつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
我は既に魂等全くおほふさがれ玻璃の中なる藁屑わらくづの如く見えける處にゐたり(これを詩となすだに恐ろし) 一〇—一二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
疊の合せ目に藁屑わらくづがハミ出してゐるのに氣が付くと、庄兵衞はニヤリとしたよ。それから、床下から出た瓶は新らしくて梅干うめぼしの匂ひがすると言つたらう。
南国の、あの黄ろい海へ向つて、この船は航路を持つてはゐないのだ。波止場は、乗船客や、荷運びの人夫でひしめき立ち、桟橋は、藁屑わらくづ木裂きぎれや、林檎の皮が、散乱してゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
どこから持って来たか藁屑わらくづや髪の毛などを敷いて臨時に巣がつくられてゐました。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
やがて彼等かれらいた藁屑わらくづ土間どまきおろしてそれから交代かうたい風呂ふろ這入はひつた。おしなはそれをながらだまつてつてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「ひどい埃ぢやないか。念入りに藁屑わらくづまで飛び出してゐる、——氣の毒だがその疊を一枚あげて見てくれ」
ふゆになると霜柱しもばしらつのでにはへはみんな藁屑わらくづだの蕎麥幹そばがらだのが一ぱいかれる。それが庭葢にはぶたである。霜柱しもばしらにはからさき桑畑くはばたけにぐらり/\とたふれつゝある。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
窓から入る明るい光線にすかかして、一枚々々疊を調べて居りましたが、丁度娘の床を敷いてゐたところの疊が、少しばかり喰ひ合せがゆがんだ上、藁屑わらくづらしいものがハミ出してゐるのを見ると