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薄弱
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はくじやく
蓋し
薄弱なる
人間は、
如何なる
場合にも
多くは
己を
恃む
能はざるものなるが、
其の
最も
不安心と
感ずるは
海上ならむ。
勘次は
羞恥と
恐怖と
憤懣との
情を
沸したが
夫でも
薄弱な
彼は、それを
僻んだ
目に
表現して
逢ふ
人毎に
同情してくれと
強ふるが
如く
見えるのみであつた。
それが
第一
自營獨立の
念を
薄弱にするの
原因で、
隨つて
日本婦人の
大なる
弱點であらうと
思ひます。
其の
小さな
芝栗が
偶然落ちてさへ
驚いて
騷ぐだらうと
思ふやうに
薄弱な
蟋蟀がそつちこつちで
微かに
鳴いて
居る。
一寸他人の
目には
觸れぬ
場所であつた。
彼は
身を
殺さうとまで
其の
薄弱な
意思が
少しのことにも
彼を
苦しめる
時、
彼を
衝動つて
盜性がむか/\と
首を
擡げつゝあつたのである。
勘次はもう
仕事をする
處ではない。