その)” の例文
野山の花が名門のそのに移し植えられたからといって、その花にいささかも関心のない者が、あえてさのみ執着を持つべきではない。
若人等は、この頃、氏々の御館みたちですることだと言って、そのの池の蓮の茎を切って来ては、藕糸はすいとを引く工夫に、一心になって居た。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
「梅の花咲き散るそのにわれ行かむ」(同・一九〇〇)、「秋萩の咲き散る野べの夕露に」(同・二二五二)等の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
晝餐ひるめしをば御子田みこだのおそのさんといふ從姉(新山堂の伯母さんの二番目娘で、自分より三歳の姉である。)の家で濟ました。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「ベルラ、ナポリ」と呼びつゝ、夫人は外套の紐を解き、そのに向へるわたどのの扉を開き、もろ手を擴げて呼吸したり。
春のそのくれなゐ匂ふ桃の花した照る道にいで立つをとめ
或る国のこよみ (新字旧仮名) / 片山広子(著)
ああ、この静かな菊のそのすわらう。
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
占問うらどひますな、夢の夢、君がみその
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
いづその、——あま少女をとめ相舞あひまひ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
銀柳ぎんりゅう金花きんか、楼をめぐ翠靄すいあいその
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昼餐ひるげをば神子田みこだのおそのさんといふ従姉(新山堂の伯母さんの二番目娘で、自分より三歳の姉である。)の家で済ました。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「梅の花散らまく惜しみ吾がそのの竹の林に鶯鳴くも」(巻五・八二四)は天平二年大伴旅人の家の祝宴で阿氏奥島おきしまの作ったものであるから此歌に前行して居り
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
そのと言われる菜畠や、ちょっとした果樹園らしいものが、女部屋の窓から見える、唯一の景色であった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
人の噂を聞くに、この貴人はボルゲエゼのうからにて、アルバノとフラスカアチとの間に、大なる別墅べつしよかまへ、そこのそのにはめづらしき草花を植ゑてたのしみとせりとなり。
見よ、永劫とことはいづその、光のにほひ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
その空に、そのそのに、ほのの青みに
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
菩提樹ぼだいじゆがくれののりその
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
そのと言はれる菜畠やちよつとした果樹園らしいものが、女部屋の窓から見える唯一の風景であつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
一夜ひとよ、伯母やおそのさんと隨分夜更くるまで語り合つて、枕に就いたのは、遠近をちこちに一番鷄の聲を聞く頃であつたが、翌くる朝はうしたものか、例になく早く目が覺めた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そのの梅の花かも久方の清き月夜つくよ幾許ここだ散り来る」(巻十・二三二五)等の例がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
胸(乳房)ゆたかなる羅馬の女子は、かゞやく眼にこの樣を見下して、車をれり。我もドメニカに引かれて、恩人のけふの祝に、蔭ながらあづからばやと、カムパニアを立出で、別墅のそのの外に來ぬ。
更にたどれば神のそのああそこにしも
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
そののあたりの泥濘ぬかるみに落ちし燕や
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
うらわかきそのの無花果
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
百部は、はやくに写し果した。その後は、千部手写の発願をした。冬は春になり、夏山と繁った春日山も、既に黄葉もみじして、其がもう散りはじめた。蟋蟀こおろぎは、昼もその一面に鳴くようになった。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
その古きの間に立てる石馬の脊とわが肩の月の影かな(啄木)
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
霧しぶくそのの奥、夕日ゆふひの光
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そのには、しらかみ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
さは、そのの若木のたわみ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そのその
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)