胡蝶こてふ)” の例文
良人をつとたんの觀念くわんねんなにとしてゆめさら/\あらんともせず、たのしみは春秋はるあき園生そのふはな、ならば胡蝶こてふになりてあそびたしと、とりとめもなきことひてくらしぬ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
近く例を探らんに、春のやのいも背鏡せかゞみ、細君、美妙斎の胡蝶こてふ、紅葉の色懺悔いろざんげ及び鴎外の舞姫等皆な罪過あるなり。然れども皆な小説たるの体裁を失はず。
罪過論 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
むかし、支那しな莊周さうしうといふひとは、ゆめ胡蝶こてふつたとはなしがありますが、ゆめなればこそ、漫々まん/\たる大海原おほうなばら徒渉かちわたりすることも出來できます、空飛そらととり眞似まね出來できます。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
いかでむとてもやらず、うつくしきふところより、かしこくも見參みまゐらすれば、うへ女夫めをとびな微笑ほゝゑたまへる。それもゆめか、胡蝶こてふつばさかいにして、もゝ花菜はなな乘合のりあひぶね
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
花園の胡蝶こてふをさへや下草に秋まつ虫はうとく見るらん
源氏物語:24 胡蝶 (新字新仮名) / 紫式部(著)
釣鐘にとまりて眠る胡蝶こてふかな
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
人も、花も、胡蝶こてふ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
はなしたふむつゆのあしたならぶるつばさ胡蝶こてふうらやましく用事ようじにかこつけて折々をり/\とひおとづれに餘所よそながらはなおもてわがものながらゆるされぬ一重垣ひとへがきにしみ/″\とはもの言交いひかはすひまもなく兎角とかくうらめしき月日つきひなり隙行ひまゆこまかたちもあらば手綱たづな
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)