背骨せぼね)” の例文
さまで大きくもあらぬけい六寸程の比較的若木わかぎであるが、魚の背骨せぼねの一方を削った様に枝は皆北方へ出て、南へは唯一本しか出て居ない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
瞬間しゅんかん、絶望的なものがしおのように押しよせてきたが、昔のままの教室に、昔どおりにつくえ椅子いすを窓べりにおき、外を見ているうちに、背骨せぼねはしゃんとしてきた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
彼女は椅子いすを離れ、目八分めはちぶんに杯をさし上げたまま、いつか背骨せぼねさえ震え出したのを感じた。
たね子の憂鬱 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
そのわしの村でも、この背骨せぼねふしの四ツに、癲癇てんかんきゅうをすえたのは、おらの子だけでございます
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで沙翁は多くある局部のうちで、ここを想像するのが一番いいと教えてくれたのであります。その教えてくれたのは、帝王の足でもない、手でもない。乃至ないし背骨せぼねでもない。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
もともと首を入れさせるためだったかもしれないが、とにかくそこに首をさし入れないことには、背骨せぼねがポキンと折れてしまいそうだった。だからむを得ず、佐々は首をさし入れた。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
かれおよがんとるものゝやうに兩手りやうてうごかして、たれやらの寐臺ねだいにやう/\取縋とりすがつた。とまた此時このとき振下ふりおろしたニキタのだい二の鐵拳てつけん背骨せぼねゆがむかともだゆるひまもなく打續うちつゞいて、又々また/\度目どめ鐵拳てつけん
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その外、背骨せぼねの曲り方、肩胛骨けんこうこつの開き工合、腕の長さ、太腿の太さ、或は尾骶骨びていこつの長短など、それらの凡ての点を綜合して見ますと、どんな似寄った背恰好の人でも、どこか違った所があります。
人間椅子 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
実はあっしも、あんまり不思議なので、そん時院長さんにいたんですが、何でも足の神経っていう奴は、みんな背骨せぼねの下から三つ目とか四つ目とかに在る、神経の親方につながっているんだそうです。
一足お先に (新字新仮名) / 夢野久作(著)
キーシュは熊の背骨せぼねをしゃぶり終って立ちあがりました。
負けない少年 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
背骨せぼねまがりのあまのじゃく
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
この手は背骨せぼねの矯正者
すると漠々ばくばくたる雲の海から、黒い山脈の背骨せぼねがもっこりと見えだした。竹童はどうにかして、ここから降りようと苦策くさくを案じ、いきなり手をのばしてわしの両眼をふさいでしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれおよがんとするもののように両手りょうてうごかして、たれやらの寐台ねだいにようよう取縋とりすがった。とまたもこのとき振下ふりおろしたニキタのだい二の鉄拳てっけん背骨せぼねゆがむかともだゆるひまもなく打続うちつづいて、またまた三度目どめ鉄拳てっけん
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
その横に年の頃は十七八で君とか僕とか生意気な事をべらべら喋舌しゃべってるのはこの近所の書生だろう。そのまた次に妙な背中せなかが見える。尻の中から寒竹かんちくを押し込んだように背骨せぼねの節が歴々ありありと出ている。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
背骨せぼねまがり
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
背骨せぼねの七ツ目のふしにはお諏訪すわさまの禁厭灸まじないきゅうがすえてごぜえます。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)