肩車かたぐるま)” の例文
毎夕私は、父の肩車かたぐるまに乗せられて父の頭に抱きついて銭湯の暖簾のれんをくぐった。床屋とこやに行くときも父が必ず、私をつれて行ってくれた。
どの工場も、窓ガラスがれているので、そこからのぞきこめばよかった。破れ穴が高いときには少年の一人が他の少年に肩車かたぐるますればよかった。
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
高い高い肩車かたぐるまをこしらえて、とうのようになり、それがあっちからもこっちからも集って、とうとう小猿の林のようなものができてしまいました。
さるのこしかけ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「君は相変らずうまそうに食うね。——奥さんこの岡本君が今よりもっと食って、もっと肥ってた時分、西洋人の肩車かたぐるまへ乗った話をお聞きですか」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
『ほー、可愛かあいらしい少年せうねんだ、サアわたくしあたまつた/\。』と肩車かたぐるませて、ズン/\とさきはしした。
不斷ふだんは、あまり評判ひやうばんのよくないやつで、肩車かたぐるま二十疋にじつぴき三十疋さんじつぴき狼立おほかみだち突立つツたつて、それが火柱ひばしらるの、三聲みこゑつゞけて、きち/\となくとたゝるの、みちるとわるいのとふ。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きょうも、——きょうは生憎あいにくあの時のように誰もその才能を発揮しない。が、大本教おおもときょう神主かんぬしが一人、彼自身の子供らしいしら肩車かたぐるまにしていたのは今日こんにち思い出しても奇観である。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
此時このとき少年せうねん餘程よほど疲勞つかれてえるので、わたくし肩車かたぐるませてすゝんだ。だれでも左樣さうだが、あまりにシーンとしたところでは、自分じぶん足音あしおとさへ物凄ものすごほどで、とても談話はなしなどの出來できるものでない。
わっはっは、わっはっは、東西東西、覆面の頭目、四馬剣尺の正体とは、男のような女に肩車かたぐるましてもらった小男とござアい。わっはっ、わはっはっは! やい、その女、貴様は小男の娘だろう。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
が、へびではない。つて肩車かたぐるました、いたちながれつみだれたのであつた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)