ひゞ)” の例文
おなじく、ふかひゞのはいつた肉體からだをもつてゐるわたしは、これからうみかうとしてゐたので、一つはしばらく先生せんせいにもおかゝれまいとおもつて。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
もっともときには大形おほがた土器どきひゞがはひつたりれたりしたとき兩側りようがはあなをあけてひもしばりつけたものがないではありませんが、おほくはてゝしまつたものと
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
其處そこはひつといはれてる。ひつにおほきなひゞつたのである。がやがてがた/\にうごいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ひゞの入つた斑點に汚れた黄色い壁に向つて、これからの生涯を過去の所爲と罪報とに項低うなだれ乍ら、足に胼胝たこの出來るまで坐り通したら奈何どうだと魔の聲にでも決斷のほぞを囁かれるやうな思ひを
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
これ千代りようも有ろうのに、ちょっと欠いたとか、ひゞが入った位ならば、是れ迄の精勤のかどもっゆるすまいものでもないが、斯う大きく毀れては何うも免し難い、これ、何は居らんか、何や
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
縁の戸にひびく霜夜の玻璃のひゞひたなげきいねず御寶我は
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「こんだこさ大丈夫だいぢようぶだ、せんにやどうしてひゞなんぞいつたけかよ」鍛冶かぢあせひたひ勘次かんじけて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
縁の戸にひびく霜夜の玻璃のひゞひたなげきいねず御宝我は
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かれまた煙草たばこひつけようとしては羅宇らうひゞつたのをつた。かれはくた/\につたかみたもとからさぐしてそれをつばらしてきはめて面倒めんだうにぐる/\とひゞいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ひゞ入りし珈琲碗カウヒわん
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)