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わいしょう
ふりがな文庫
“
矮小
(
わいしょう
)” の例文
此
(
こ
)
の
卑
(
いや
)
しい汚い
矮小
(
わいしょう
)
な人種が、己の同胞であるかと思うと、そうして自分もあんな姿をして居るのかと考えると、己は全く
情
(
なさけ
)
なくなる。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この
矮小
(
わいしょう
)
な
若僧
(
じゃくそう
)
は、まだ出家をしない前、ただの俗人としてここへ修業に来た時、七日の間
結跏
(
けっか
)
したぎり少しも動かなかったのである。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分の運命に対する強い信頼が小供の時から絶えず
活
(
はた
)
らいていたけれども、またその側には常に自分の
矮小
(
わいしょう
)
と無力とを恥じる念があって
自己の肯定と否定と
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
日本国江戸府の書生、
爪中万二
(
くわのうちまんじ
)
、
市木公太
(
いちきこうた
)
、書を貴大臣、各将官の執事に呈す。生ら、
賦稟
(
ふひん
)
薄弱、
躯幹
(
くかん
)
矮小
(
わいしょう
)
、
固
(
もと
)
より士籍に列するを恥ず。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
南京街
(
ナンキンまち
)
のせまい路地にまで
漲
(
みなぎ
)
っている太陽の光を見ると、トム公の
矮小
(
わいしょう
)
なからだに、争闘的な血が、むくむくと温度をもった。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
これいはゆる
矮小
(
わいしょう
)
なる
島国人
(
とうこくじん
)
の性質また
如何
(
いかん
)
ともすべからざるもの
歟
(
か
)
。進んで他を取らんとすればために自己伝来の宝を失ふ。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
……だが、この街が最後の
楯
(
たて
)
になるなぞ、なんという狂気以上の
妄想
(
もうそう
)
だろう。仮りにこれを叙事詩にするとしたら、最も
矮小
(
わいしょう
)
で陰惨かぎりないものになるに相違ない。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
巨漢レヴェズの
套靴
(
オヴァ・シューズ
)
を履いたのが、かえって、その半分もあるまいと思われる、
矮小
(
わいしょう
)
な人物なんだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
(味はバークシャーよりも在来種がずっとよく、改良されてかえって味がまずくなっているが。)沖縄でその他の動物の比較的
矮小
(
わいしょう
)
な理由原因もまたここにあると思う。
進化論より見たる沖縄の廃藩置県
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
河畔の
蘆
(
あし
)
の中でしきりに
葭切
(
よしきり
)
が鳴いている。草原には
矮小
(
わいしょう
)
な
夾竹桃
(
きょうちくとう
)
がただ一輪真赤に咲いている。
ゴルフ随行記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それが貴方とふとしたことからトア・ズン・ドルで背中合せになってから、私は貴方が
矮小
(
わいしょう
)
でこざかしい日本人であることを知りながら貴方が慕わしくてならないのです。
孟買挿話
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
五十年以来彼らの身長なお減じたるは著しきことにして、パリー郭外の者らは革命前よりもいっそう
矮小
(
わいしょう
)
となれり。更に危険なることなし。要するに、そは愛すべき細民なり。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
径の傍らには種々の
実生
(
みしょう
)
や
蘚苔
(
せんたい
)
、
羊歯
(
しだ
)
の類がはえていた。この径ではそういった
矮小
(
わいしょう
)
な自然がなんとなく親しく——彼らが陰湿な会話をはじめるお
伽噺
(
とぎばなし
)
のなかでのように、眺められた。
筧の話
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
矮小
(
わいしょう
)
な灌木や熊笹の繁茂している所がままあるが、展望を妨げるようなことは少しもない、間もなく偃月形をなしているかなりの大残雪を蹈んで、七時五分に絶巓の三角点址に達した
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
いかなる苦しみにも
堪
(
た
)
え忍びつつ、自己の精神を向上せしめる偉大な人々においてはもちろんあり得ないことであるが、
矮小
(
わいしょう
)
な私たちの魂にあっては、多くの事実が示しておるように
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
二人のクラフト、祖父と父とは、彼にたいして
嘲弄
(
ちょうろう
)
的な
軽蔑
(
けいべつ
)
をいだいていた。その
矮小
(
わいしょう
)
な男が彼らにはおかしく思われた、そして行商人という
賤
(
いや
)
しい身分に自尊心を傷つけられていた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
まるで庭中が馬になったような感じがした。風景のプロポーションが、急に狂ったせいだろうとも思う。道端で轅につながれているときは、いつも不活溌で
矮小
(
わいしょう
)
な汲取屋の馬なのである。
庭の眺め
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
私は、
矮小
(
わいしょう
)
無力の市民である。まずしい慰問袋を作り、妻にそれを持たせて郵便局に行かせる。戦線から、ていねいな受取通知が来る。私はそれを読み、顔から火の発する思いである。恥ずかしさ。
鴎
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
あの門が取り去られて、その代り何が建てられるであろう。吾々は偉大なものを無益な労力によって破壊し、
矮小
(
わいしょう
)
な門をそれに代えしめる日を待ちつつあるのである。人は狂っているのであろうか。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
子どもでもなし、大人とも思えない、
矮小
(
わいしょう
)
で脚の短い男だった。頭の毛を、
河童
(
かっぱ
)
のように、さんばらに風に吹かせて
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「なるほどあの猿ならよく似合うね。いくら
英吉利人
(
イギリスじん
)
が大きいたって、どうも君じゃ
辻褄
(
つじつま
)
が合わな過ぎると思ったよ。——あの猿と来たらまたずいぶん
矮小
(
わいしょう
)
だからな」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その二
条
(
すじ
)
の足跡を詳細に云うと、法水が最初
辿
(
たど
)
りはじめた左手のものは、全長が二十センチほどの男の靴跡で、はなはだしく
体躯
(
たいく
)
の
矮小
(
わいしょう
)
な人物らしく思われるが、全体が平滑で
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そしてお前たちは、そういう威容をばかり保ってついにどうなるか知ってるのか。ただ
矮小
(
わいしょう
)
になるばかりだ。よく覚えておくがいい、快活は単に愉快であるばかりでなく、また偉大である。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
此処の親爺は「新青年」の探偵小説の
挿絵
(
さしえ
)
などにある、
矮小
(
わいしょう
)
な
体躯
(
たいく
)
に巨大な
木槌頭
(
さいづちあたま
)
をした
畸形児
(
きけいじ
)
、———あれに感じが似ていると云うことで、貞之助達は前に彼女から
屡〻
(
しばしば
)
その描写を聞かされ
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ちょっと見ると維新以前の宿場のような感じのする
矮小
(
わいしょう
)
な低い家並みの店先には、いわゆる「居留地」向きの雑貨のほかに、一九三三年の東京の銀座にあると同じような新しいものもあるのである。
軽井沢
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
私は、私の作品を、ほめてくれた人の前では極度に
矮小
(
わいしょう
)
になる。その人を、だましているような気がするのだ。反対に、私の作品に、
悪罵
(
あくば
)
を投げる人を、例外なく軽蔑する。何を言ってやがると思う。
自作を語る
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
矮小
(
わいしょう
)
で骨太だったと報じられていたが、頭蓋骨からみて、智能が劣っていたとはなかったように覚えている。
随筆 私本太平記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
双眸
(
そうぼう
)
の奥から射るごとき光を吾輩の
矮小
(
わいしょう
)
なる
額
(
ひたい
)
の上にあつめて、御めえは一体何だと云った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
したがって、靴の踵に加えた力が直接爪先の上には落ちずに、幾分そこから下った辺りに加わるだろうからね。いかにも、足の
矮小
(
わいしょう
)
なものが、大きな靴を履いたような形が現われるのだ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
ついこの間まで
玩具
(
おもちゃ
)
のような
矮小
(
わいしょう
)
な家に住んでいた亡命
露西亜
(
ロシア
)
人の娘が、
忽
(
たちま
)
ち英国に渡って大会社の社長殿の夫人に出世し、お城のような邸宅で人も
羨
(
うらや
)
む栄華な暮しをするようになったかと思えば
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
矮小
(
わいしょう
)
を思い知らされて、いやになったのだ。
正義と微笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と、自分に訊ねてみると、悲しいかな、肉体は、先天的に
矮小
(
わいしょう
)
だし、健康も人並より
優
(
すぐ
)
れていないし、学問はないし、智慧は当り前だし……一体、何がある?
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
矮小
(
わいしょう
)
で骨ばッた老人なのに、ひどく力のある足ぶみで、あらあらと玄関に顔を出した。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
矮
漢検1級
部首:⽮
13画
小
常用漢字
小1
部首:⼩
3画
“矮小”で始まる語句
矮小黒人種
矮小僧
矮小化