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独鈷
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とっこ
ふりがな文庫
“
独鈷
(
とっこ
)” の例文
旧字:
獨鈷
そうすると大師は暫く考えて、手に持つ
独鈷
(
とっこ
)
というもので、こつこつと地面を掘り、忽ちそこからこの清水が湧くようになりました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
けれどもこの兜には
前立
(
まえだて
)
がないのです。
柄
(
つか
)
が残っているので、前立は何んであるかと
詮索
(
せんさく
)
をして見ると、これは
独鈷
(
とっこ
)
であるということです。
幕末維新懐古談:68 楠公銅像の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
お坊さんは、壇の上の
独鈷
(
とっこ
)
をとって
押頂
(
おしいただ
)
き、長い線香を一本たて、
捻香
(
ねんこう
)
をねんじ、五種の抹香を長い
柄
(
え
)
のついた、真ちゅうの
香炉
(
こうろ
)
にくやらす。
旧聞日本橋:20 西川小りん
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
尋常の
袷
(
あわせ
)
を着流しにしていて、
独鈷
(
とっこ
)
の帯か何かを締め、小刀を前にして、大の方を如上の如く提げているのですが、最も幸いなことには、全く
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
人形使 はッこれは——弘法様の
独鈷
(
とっこ
)
のように輝きます。
勿体
(
もったい
)
ない。(
這出
(
はいだ
)
して、画家の金口から吸いつける)
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「か」の字川の瀬の中に
板囲
(
いたがこ
)
いをした、「
独鈷
(
とっこ
)
の湯」と言う共同風呂がある、その温泉の
石槽
(
いしぶね
)
の中にまる一晩沈んでいた
揚句
(
あげく
)
、
心臓痲痺
(
しんぞうまひ
)
を起して死んだのです。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
更にシェストフはこの「敵意ある屈従」を
独鈷
(
とっこ
)
にとって、さもチェーホフが唯物論の
苛酷
(
かこく
)
な脅迫のうちに新型の「歯痛の快感」を見出していたかの如き印象を
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
鼠色の
御召縮緬
(
おめしちりめん
)
に黄柄茶の糸を以て細く小さく碁盤格子を織
出
(
いだ
)
したる上着、……帯は古風な
本国織
(
ほんごくおり
)
に紺
博多
(
はかた
)
の
独鈷
(
とっこ
)
なし媚茶の二本筋を織たるとを腹合せに縫ひたるを結び
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
髪は白
元結
(
もとゆい
)
できりりと巻いた
大髻
(
おおたぶさ
)
で、
白繻子
(
しろじゅす
)
の下着に褐色無地の
定紋附羽二重
(
じょうもんつきはぶたえ
)
小袖、献上博多白地
独鈷
(
とっこ
)
の角帯に
藍棒縞仙台平
(
あいぼうじませんだいひら
)
の裏附の
袴
(
はかま
)
、
黒縮緬
(
くろちりめん
)
の紋附羽織に
白紐
(
しろひも
)
を胸高に結び
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
『江海風帆草』に見ゆる筑前立花山伝教の
独鈷
(
とっこ
)
松、チベットにもラッサの北十里、〈色拉寺中一
降魔杵
(
ごうましょ
)
を置く、番民呼んで
多爾済
(
ドルジ
)
と
為
(
な
)
す、大西天より飛来し、その寺
堪布
(
カンボ
)
これを
珍
(
め
)
づ
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
その他、なお、舎利塔、位牌、如意、
持蓮
(
じれん
)
、
柄香炉
(
えこうろ
)
、
常花
(
とこはな
)
、
鈴
(
れい
)
、
五鈷
(
ごこ
)
、三鈷、
独鈷
(
とっこ
)
、
金剛盤
(
こんごうばん
)
、輪棒、
羯麿
(
かつま
)
、
馨架
(
けいか
)
、
雲板
(
うんばん
)
、
魚板
(
ぎょばん
)
、
木魚
(
もくぎょ
)
など、余は略します。
幕末維新懐古談:07 彫刻修業のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
独鈷
(
とっこ
)
の湯からは
婆様
(
ばあさま
)
が
裸体
(
はだか
)
で飛出す——あははは、やれさてこれが
反対
(
あべこべ
)
なら、弘法様は嬉しかんべい。
山吹
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
独鈷
(
とっこ
)
の模様を写し出したものと覚えている、そこで、その縮冊で四冊今までの分が完結して発行され、引続きなかなかよく売れたものである、その四冊は第二十の「禹門三級の巻」で終っている
生前身後の事
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
共同風呂のまん中には「
独鈷
(
とっこ
)
の湯」の名前を生じた、大きい石の独鈷があります。半之丞はこの独鈷の前にちゃんと着物を
袖
(
そで
)
だたみにし、遺書は
側
(
そば
)
の
下駄
(
げた
)
の
鼻緒
(
はなお
)
に
括
(
くく
)
りつけてあったと言うことです。
温泉だより
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
修善寺の奥の院の山の
独活
(
うど
)
、これは字も似たり、
独鈷
(
とっこ
)
うどと
称
(
とな
)
えて形も似ている、仙家の
美膳
(
びぜん
)
、秋はまた
自然薯
(
じねんじょ
)
、いずれも今時の若がえり法などは大俗で及びも着かぬ。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人はもう持参の浴衣に
着換
(
きか
)
えていて、お
定
(
きま
)
りの
伊達巻
(
だてまき
)
で、湯殿へ
下
(
お
)
ります、一人が市松で一人が
独鈷
(
とっこ
)
……それも
可
(
い
)
い、……姉の方の脱いだ
明石
(
あかし
)
が、沖合の白波に向いた
欄干
(
てすり
)
に
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
両
(
ふた
)
つ
提
(
さげ
)
の——もうこの頃では、山の爺が
喫
(
の
)
む煙草がバットで差支えないのだけれど、事実を報道する——
根附
(
ねつけ
)
の処を、
独鈷
(
とっこ
)
のように振りながら、
煙管
(
きせる
)
を
手弄
(
てなぶ
)
りつつ、ぶらりと降りたが
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、玉で刻んだ
独鈷
(
とっこ
)
か何ぞ、尊いものを持ったように見えました。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“独鈷”の意味
《名詞》
独鈷(とっこ、どっこ、とこ)
密教で用いる仏具。鉄製または銅製で両端の尖った短い棒。
語義1のような図形を織り出した織物。
(出典:Wiktionary)
独
常用漢字
小5
部首:⽝
9画
鈷
漢検準1級
部首:⾦
13画
“独鈷”で始まる語句
独鈷入
独鈷繋
独鈷抛山