すみ)” の例文
玉川たまがわの方です。骸骨がいこつのパチノとおすみという日本の女との間に出来た子供のことについて調べに行くと云っていましたよ」
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すみわたれる望月もちづきの空に、トリヴィアが、天のふところをすべて彩色いろど永遠とこしへのニンフェにまじりてほゝゑむごとく 二五—二七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
にはひかりがあり反射はんしやがあり、そらにはいろうるほひとがある。空氣くうきんで/\すみつて、どんな科學者くわがくしやにもそれが其處そこにあるといふことを一わすれさせるであらう。
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
女中のすみさんのいうところでは、なにか奥様に不行跡があっての御離縁ではあるまいかなぞと申しますが、しかし私は、初めっから、奥様がそんな方でないことは
幽霊妻 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
濁れるは濁れるまに/\、八面玲瓏一点無私のおもかげに添ひて、すみのぼる琴のね何処までゆくらん、うつくしく面白く、清く尊く、さながら天上の楽にも似たりけり。
琴の音 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その晩は月は何処のもりにも見えなかった。深くすみわたった大気の底に、銀梨地ぎんなしじのような星影がちらちらして、水藻みずものようなあお濛靄もやが、一面に地上からはいのぼっていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
箱根はこね煙草たばこをのんだらうと、わらひですんだからいものの、すゝきつきすみながら、むね動悸どうきしづまらない。あいにくとまた停電ていでんで、蝋燭らふそくのあかりをりつゝ、ともしびともがふるふ。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
マロニエの木立こだちが一斉にやはらかい若葉を着けたので、巴里パリイの空の瑠璃るり色のすみ渡つたのに対し全市の空気が明るい緑に一変した。これが欧洲の春なのであらうが僕等には冬からぐに初夏はつなつが来た気がする。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
すみちゃん、すみちゃん、なにあげよう。
お星さま (新字新仮名) / 小川未明(著)