ぶう)” の例文
「いま、かアちゃんと、おぶうに入ってます。一時間ほど前に、黄一郎きいちろうと三人連れでやって来ました」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「房ちゃん、お前さんにもお化粧つくりしてげましょう——オオ、オオ、おぶうに入って好い色に成った」
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ああ、つまらない、せっかく帰って来ても、お帰りなさいと言ってくれる人はなし、おぶうは冷めきってしまってるし、煙草まで隠してしまわなくってもいいじゃないの」
大菩薩峠:25 みちりやの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ほんとにおぶうなら歸りに屹度きつとよつてお呉れよ、嘘つ吐きだから何を言ふか知れやしないと店先に立つて馴染らしき突かけ下駄の男をとらへて小言をいふやうな物の言ひぶり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そこは直感というやつで、これはテッキリ園絵がおぶうをつかっているに相違ない。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
みんな御苦労ね。だけれど私あまだ帰らないから、かまわないでおくれ。ちっとやすんだらお帰りだといい。おぶうでもあげるんだけれど、それよりか庭のね、かけひの水が大層々々おいしいよ。)
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
さあ、お前はおぶうへいっておいでよ、その間にチャンとしておくから。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
見て立ちかけると、また話し出されるの。で、また少し話して立とうとすると、観音様の市のとき仲見世で買ってきたんだからなんて言って、桜の花の入ったおぶうなんか出してきてすすめられるの。困ったわ、私
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
後生ごしょうだからおぶうを一杯……。
影:(一幕) (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ほんとにおぶうならかへりに吃度きつとよつておれよ、うそきだからなにふかれやしないと店先みせさきつて馴染なじみらしきつツかけ下駄げたをとこをとらへて小言こゞとをいふやうなものひぶり
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「おぶう。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ほんとにおぶうなら帰りにきつとよつておくれよ、うそきだから何を言ふか知れやしないと店先に立つて馴染なじみらしきつツかけ下駄の男をとらへて小言こごとをいふやうな物の言ひぶり
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ざつと汗を流したら何うでござんす、太吉もおぶうに這入なといへば、あいと言つて帶を解く、お待お待、今加減を見てやるとて流しもとに盥を据へて釜の湯を汲出し、かき廻して手拭を入れて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ざつと汗を流したらどうでござんす、太吉もおぶうに這入なといへば、あいと言つて帯を解く、お待お待、今加減を見てやるとて流しもとにたらいを据へてかまの湯を汲出くみいだし、かき廻して手拭てぬぐひを入れて
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ざつとあせながしたらうでござんす、太吉たきちもおぶう這入はいりなといへば、あいとつておびく、おまちまちいま加減かげんてやるとてながしもとにたらいへてかま汲出くみいだし、かきまわして手拭てぬぐひれて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)