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涙含
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なみだぐ
ふりがな文庫
“
涙含
(
なみだぐ
)” の例文
怒鳴られたので僕は
喫驚
(
びっくり
)
して泣きながら父の顔を見て
居
(
い
)
ると、父も
暫
(
しばら
)
くは黙って
熟
(
じっ
)
と僕の顔を見て居ましたが、急に
涙含
(
なみだぐ
)
んで
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
圭一郎は暫時考へた揚句、
涙含
(
なみだぐ
)
んでたじろぐ千登世を叱咜して、今は物憂く未練のない煎餅屋の二階を棄て去つたのである。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
余
(
よ
)
の一
家
(
か
)
は
悉
(
こと/″\
)
く
涙含
(
なみだぐ
)
んだ。
此
(
この
)
優
(
やさ
)
しい
少女
(
せうぢよ
)
。
境遇
(
きやうぐう
)
が
變
(
かは
)
つて
居
(
ゐ
)
たのと、
天候
(
てんかう
)
が
曇
(
くも
)
り
勝
(
がち
)
なのとで、一
層
(
そう
)
我々
(
われ/\
)
は
人
(
ひと
)
の
心
(
こゝろ
)
の
優
(
やさ
)
しさが
感
(
かん
)
じられたのであらう。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
水車の音が単調に聞えて、
涙含
(
なみだぐ
)
まるるような物悲しさが、快活に働いたり、笑ったりして見せているお島の心の底に、しみじみ
湧
(
わき
)
あがって来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
その時の私達は、明るい晴れやかな心になって、福寿草とともに、
涙含
(
なみだぐ
)
ましい気持ちで春の陽光に感謝しています。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
▼ もっと見る
「御覧なさいな、」と、人知れずお雪は
涙含
(
なみだぐ
)
んで、見る見る、男の顔の色は動いた。はッと思うと
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
母は
咽
(
むせ
)
ぶやうに声をのんだ。心の弱い孝一は母の
涙含
(
なみだぐ
)
んだ眼を見ると、うろ/\とした。
父の帰宅
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
それでも芝居の
楽
(
らく
)
の日に、興行中に贈られた花の仕分けなどして、片づいて
空
(
から
)
になった部屋に、帰ろうともせず
茫然
(
ぼうぜん
)
と、何かに
凭
(
もた
)
れている姿などを見ると、ただなんとなく
涙含
(
なみだぐ
)
まれるときがある。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「何をいきなり
涙含
(
なみだぐ
)
みやがるんだ。順序を立てて話して見るがいゝ」
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
涙含
(
なみだぐ
)
みつつ宮が
焦心
(
せきごころ
)
になれるを、母は打惑ひて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
鬼の樣なる入道も稍〻
涙含
(
なみだぐ
)
みてぞ見えにける。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
涙含
(
なみだぐ
)
んだような顔をして、それを脊負って行く順吉のいじらしい後姿を見送っているお島の目には、涙が
入染
(
にじ
)
んで来た。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そしてまた私達のセンチメンタリストは、
廃墟
(
はいきょ
)
に自然が
培
(
つちか
)
う
可憐
(
かれん
)
な野草に、
涙含
(
なみだぐ
)
ましい思いを寄せることがある。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
僕には何のことか
全然
(
すっかり
)
解
(
わか
)
らないから、驚いて父の顔を仰ぎましたが、不思議にも我知らず
涙含
(
なみだぐ
)
みました。それを見て父の顔色は
俄
(
にわか
)
に変り、
益々
(
ますます
)
声を
潜
(
ひそ
)
めて
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
平次は
涙含
(
なみだぐ
)
む徳三郎を見やつて、滿足さうにうなづきました。
銭形平次捕物控:038 一枚の文銭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お鉄は
涙含
(
なみだぐ
)
んでさえいるので有った。
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
お静は
些
(
ちよ
)
と
涙含
(
なみだぐ
)
みし目を
拭
(
ぬぐ
)
ひて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
婆さんはまた
涙含
(
なみだぐ
)
んで
政談十二社
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「この子に初めて拵える着物が七十五銭なんて、私可哀そうなような気がして……。」と、お銀は
涙含
(
なみだぐ
)
んでいた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
雄吾は佐平爺の慰めるような言葉で、
涙含
(
なみだぐ
)
ましい気持ちに支配されながら、それに反抗するように言った。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
氣の弱さうな重三は、もう
涙含
(
なみだぐ
)
んでさへ居りました。
銭形平次捕物控:015 怪伝白い鼠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
自然
(
ひとりで
)
に以前の自分の山の生活が想出せて来て、
涙含
(
なみだぐ
)
ましいような気持になるのであった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
夜になって、色
褪
(
あ
)
せた一張の
襤褸蚊帳
(
ぼろがや
)
が吊られた。市平にはそれが、なんとなく
懐
(
なつか
)
しかった。
涙含
(
なみだぐ
)
ましくさえ思われた。そして親子四人は、暫くぶりで一枚の
布団
(
ふとん
)
にもぐりこんだのであった。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
叔母は少し
涙含
(
なみだぐ
)
んでさへ居ります。
銭形平次捕物控:034 謎の鍵穴
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
涙含
(
なみだぐ
)
ましい気持ちでいっぱいになっているに相違ありません。
季節の植物帳
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
お増は
涙含
(
なみだぐ
)
んだような目色をして、良人に呟いた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
淺五郎は
涙含
(
なみだぐ
)
んでさへ居りました。
銭形平次捕物控:040 兵庫の眼玉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
こう言われて、静枝は
涙含
(
なみだぐ
)
んでいるようだった。
接吻を盗む女の話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
梅三爺の訴えは
涙含
(
なみだぐ
)
ましかった。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
涙
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
含
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
“涙”で始まる語句
涙
涙香
涙脆
涙腺
涙声
涙眼
涙痕
涙金
涙顔
涙珠